第6話 新たな挑戦

感情日記のワークショップから数週間が経ち、あきらの日常はさらに充実したものとなっていた。毎日の感情日記を書くことが習慣となり、ブログには多くの読者が訪れるようになった。そんなある日、宮田さんが再び訪れ、新たな提案を持ちかけてきた。


「こんにちは、あきらさん。最近のブログ、すごく反響がありますね。実は、地域のコミュニティセンターで感情日記をテーマにした講演をしてみませんか?」


あきらは驚いた。「講演ですか?僕がですか?」


「はい、あきらさん。あなたの経験や感情日記を通じて得た気づきを、もっと多くの人に伝えることで、同じような悩みを抱える人たちに希望を与えられると思うんです。」


その提案にあきらは戸惑いながらも、内心では挑戦してみたいという気持ちが湧いていた。「わかりました。やってみます。」


講演の準備は思った以上に大変だったが、宮田さんのサポートもあり、あきらは自分の経験や感情日記の効果をまとめ、スライドを作成した。講演の日が近づくにつれて緊張が高まったが、読者や宮田さんの励ましが彼を支えてくれた。


そして講演の日。コミュニティセンターのホールには、多くの人々が集まっていた。あきらは深呼吸をして、ステージに上がった。


「皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。私はあきらと申します。今日は、私が経験したことや感情日記がどのように私を救ってくれたかについてお話しします。」


最初は緊張していたが、次第に自分のペースで話すことができるようになった。あきらは、自分が引きこもり生活を送っていた頃のこと、宮田さんとの出会い、感情日記を始めたきっかけ、そしてそれがどのように彼の人生を変えたかを話した。


「感情日記を書くことで、自分の中に閉じ込めていた感情を解放することができました。そして、それを共有することで、多くの人たちと繋がることができました。今日、ここにいる皆さんも、もし何か悩みや不安を抱えているなら、自分の感情を言葉にしてみてください。それが、きっと新たな一歩となるはずです。」


あきらの話に、会場は静かに聞き入っていた。彼の真摯な言葉が多くの人々の心に響いたのだ。講演が終わると、大きな拍手が巻き起こり、多くの人々が彼に感謝の言葉を伝えに来た。


「あなたの話を聞いて、とても勇気をもらいました。」

「私も感情日記を始めてみようと思います。」


その言葉に、あきらは心から嬉しくなった。自分の経験が誰かの助けになること、それがこんなにも素晴らしいことだとは思わなかった。


講演を終えて家に帰ると、あきらはその日の出来事を感情日記に書き綴った。


「今日は初めて講演をしました。とても緊張したけれど、自分の経験を共有することで、多くの人たちと繋がることができました。これからも、もっと多くの人たちに感情日記の素晴らしさを伝えていきたいと思います。」


その投稿には、多くの読者からの励ましのコメントが寄せられた。読者たちはあきらの成長を喜び、彼の勇気に感謝していた。


あきらの新たな一歩はまた一つ前進していた。感情日記を通じて自分自身を見つめ直し、その経験を共有することで、彼はさらに大きな希望と自信を持ち始めていた。これからも、彼の心には確かな希望が育っていくことを信じていた。

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