第2話 先生との対峙とおねえちゃんの秘密(Ⅰ)

「先生、ちょっと話したいんだけど」


「めずらしいですね。山口さん、いいですよ」


相変わらずつんけんした態度だと思う。年下の私がため口で話しかけているのに敬語で話してくるところも鼻についた。


「あのね、先生もしかしたらなんだけど商店街のスナックで働いてるよね」


「なんのことかしら。スナックなんて商店街にいっぱいあるじゃない。私もたまには行くのよ。お酒を飲みに。どこかで見かけたのかしらねぇ」


「違うよ、先生。スナック潤子から出てきたの見たんだよ。ホステスの格好をしてた」


目がかっと開いた気がしたけれど、あーそのスナックよく行くのよとだけ言われてもう帰りなさいとうやむやにされてしまった。絶対あれは先生だったのに。どうしても先生に本当のことを聞きたくなった私は噂の家に行くことにした。


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そこはなんでも奇跡を起こせる人がいるらしいのだ。魔法といってもいいのかもしれない。近所に住むいとこのお姉ちゃんは最近別人みたいに綺麗になった。みんなあの丘の家に行ったんだわと口々に噂するもんだから、私は直接聞きに行ったのだ。


「おねえちゃん、綺麗だよねえ」


「あら、綾子ありがとう。嬉しいわ」


「おねえちゃん前まで本当に見た目に気を遣っていなかったじゃない?それに目

だって・・・」


「綾子!そこまでよ。それ以上は何も言わないで」


「おねえちゃん、あの丘の家に行ったんでしょ?」


目元がピクリと動いたのを私は見逃さなかった。


「綾子ちゃん、あなた誰から聞いたの?」


いつもは呼び捨てなのに甘えるように綾子ちゃんと呼び掛けてくる時点で図星なんだろう。


「おねえちゃん誰にも言わないから教えて、行ったんでしょ?」



ふぅーと肩で息を吐くと行ったわと静かに答えた。どうやって綺麗になったの。

どうやったら行けるの。と、続けざまに質問をするとこれは誰にも話しちゃだめよと秘密の話を教えてくれた。

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あの丘の家 涼野京子 @Ive_suzun9

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