第5話 いちごの若さ 5

13歳になって、「ユウくん」が私を見る目が変わった。

ねっとりと頭の先から足の先まで見てくるようになった。

私がお風呂に入っているときにとわざとらしくドアを開け、「なんだ入ってたのか」と何事もなかったかのようにされることもあった。


忘れもしない、あれは夏休みのことだった。

日付がそろそろ変わりそうな時間、母はいつも通りスナックに出勤していた。

私は部屋で一人、布団にもぐって漫画を読んでいた。

ガチャっと玄関の鍵が開いた。

母が帰ってくるのは1時過ぎだから、おそらく今入ってきたのは「ユウくん」だろう。

どうせまた酒に酔っているのだろう、話しかけられるのが嫌な私は漫画を置いて布団をかぶった。


リビングからテレビの笑い声が聞こえてしばらく、私もウトウトしかけていた時

襖が開く音がした。

うわ、来てしまった…寝たふりを決め込むつもりだったが、「ユウくん」の様子がいつもと違う。

荒い鼻息、ゆらゆらと芯のない影、昨日よりはるかに濃い酒の臭い。

ゆっくりとこちらに向かってきていた「ユウくん」は私の横で立ち止まり、私の脇腹を思いっきり蹴り飛ばした。


言葉にならない痛みに悶え苦しみながら、どうにか「ユウくん」に視線を向ける。

同時に髪を掴み上げられ、頬に2.3回強く平手打ちされた。

今まで、母にこそ何度も手を上げていたが、私に暴力を振るってくることはなかった。

そのまま布団の上にはたき落とされ、倒れこむ私の上に馬乗りになる「ユウくん」。

荒い息遣いで、私のパジャマを強引に破った。

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ヨリカカリ @otomodachi25

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