第4話 いちごの若さ 4
若さは一瞬だ。
女はすぐに枯れてしまう。
私は枯れた女の末路を知っている。
母は毎日違う男を家に連れてきた。
眼鏡をかけたひょろっちい男、ゴールドのダサい鎖ネックレスをつけたイキった男、女性経験なんてなさそうなデブ男。
みんなお菓子をくれたり、遊んでくれたから楽しかった。
母は17歳で私を産み、翌年離婚。
そこからはキャバクラで働きながら生活をしていた。
4歳ごろの記憶からしかないけど、その頃から部屋は汚かった。
それが俗に言う汚部屋だということは知っているけど、生まれてからずっとその空間で生きてきた私は、一人暮らしをしても結局汚部屋になってしまう。
この頃の母は、今思うとまだいい母親だったのかもしれない。
料理は一切しないけど、朝夕はコンビニ弁当を買ってきてくれた。
ピンクのランドセルがいいという私のわがままのために、近所を回っておさがりをもらってきてくれた。
貧乏だったけど、割と幸せに生活していたと思う。
母が変わってしまったのは私が中学に上がって少し経った頃からだった。
母が連れて帰ってくる男が一人だけになった。
タンクトップによくわからない柄の刺青、ヤニと酒臭い男だった。
初めのうちは仲が良く見えたが、次第に二人の関係は悪くなっていった。
母はキャバクラを辞めスナックで働いていたが、スナックの給料をほとんど男に取り上げられるようになった。
母が「ユウくん」と呼んでいたその男は、母から取り上げた金をパチンコに溶かし、負けたら母に八つ当たりをするような男だった。
罵詈雑言だけだった八つ当たりが、暴力に変わっていった。
私は母が殴られているところを、寝室からただ見ることしかできなかった。
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