第3話 いちごの若さ 3
・・・
「はいいちごちゃん、今日もお疲れさま。」
あの客以降、もう一人だけ接客をして事務所に戻った私に店長が話しかける。
金髪で小太りの、ちょっと胡散臭い表情をしている男だ。
私は無言で給与明細に視線を落とし、写真を撮る。
この店は給与明細を持ち帰れないので、写真に撮って保存しておく。
60分…1本/P指名/11000
90分…1本/フリー/13000
雑費…2000
Total…22000
小さくため息をつきながら明細の隅にサインをし、無言で店長に手渡す。
「今日は電話あんまり鳴らなくて…ごめんね」
申し訳なさそうに笑いながら店長は明細を受け取った。
「最近いつもそうじゃないですか?面接のとき1日5万は稼げるって言ってましたよね?」
そう店長をにらむと、店長はタバコに火をつけて一息吐いた。
「いちごちゃんさ、自分がなんで売れないか、わかってる?
当欠(当日欠勤)、予約リスケ、日記も1日1件だけ。
お礼日記書くのがめんどうなら、写真だけでもアップしたらどう?
やる気のない、来るかもわからない子にフリーつけてあげるほど店も馬鹿じゃないよ。」
またうるさい小言が始まった。
別にやる気がないわけじゃないのに勝手に決めつけられると、余計に腹が立つ。
まだ何か言いたそうな店長を遮り、私は「おつかれさまでーす。」と事務所を出た。
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