第4話 暗器兵装δ

 反射的に刀を振った

 

 教皇に刃は届かなかった。

 暗器兵装βトランス・ブラック・ベータは、まだ適用されているにも関わらずその一つである「刀」は小さな光の粒子となり飛散し、教皇に吸収された。


 「まさか、教皇が行使した魔法は—―」

 

 頭によぎったのは、魂を魔力へと変換し吸収する最上位魔法「魂暴食ソウル・イーター」だった。

 しかし、刀が魔力となり彼に吸収させたことから予想するに極魔法「魔魂暴食マジックソウル・イーター」の可能性も捨てきれない。

 

 そう考えているうちに、教皇は空へと昇っていく。

 

 「暗器兵装δトランス・ブラック・デルタ


 

 そう呟き、暗器兵装δ《トランス・ブラック・デルタ》を発動させる。

 武器は「拳銃」。

 小さなその拳銃は、半自動式セミオートマチックと呼ばれるもので黒を基調したものだった。その弾丸は魔力を使用する魔法弾丸マジック・バレット


 「マスター!」

 

 何かを伝えるために、エンシェがドラゴンの翼を背中から出しながら、超高速で私のところまで来た。

 

 「どうかした?」


 「あの魔法は極魔法の魔魂暴食マジックソウル・イーターです、お気を付けてください」



 「私のことを、心配してくれたの?ありがとう」

 

 上空にて、魔方陣を作り出し天使召喚の詠唱をしている教皇から目を離さないようにしながら彼を殺すための最善手をエンシェに伝える。


 速度と精度を上げるために「速度上昇」そして、妨害魔法・妨害結界を無効化する「妨害無効化」を魔法弾丸マジック・バレットに込めれるだけ込めた。

 

 そして魔法弾丸マジック・バレットを、拳銃へと注ぎ込む。

 

 「この弾にすべてを賭けます。エンシェ、威力の増幅は頼みます」

 「はい、マスター


 そうして照準を教皇とその前に立ちはだかる天使エンジェルに合わせその引き金を引く。

 









 音を感じる間もなく、その魔法弾丸マジック・バレットはエンシェ殿の炎魔法によって膨れ上がった威力を取り込み、デルタへと一直線に突き進んでいった。

 

 それを迎え撃つのは、デルタの召喚した天界の門番「天使エンジェル」であった。

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