天使に会った話 前編
「実は私天使なんです!!」
そんなことをはにかみながらで言う彼女に見惚れた私は声を出すことを忘れていた…
彼女の容姿は本当に天使のようで、告げられた言葉に現実感はなかったが「天使」と
称すそれには説得力を感じざるを得なかった。彼女が私の目の前に現れたのは昨日の夜の出来事であった。
「はぁ〜」
──会社の帰り道、私は今日あった出来事を思い出し思わず溜め息が漏れた
私が勤めている会社は給料もいい方であり、同世代の中でも自分の稼ぎは上位であるとは思っている。
そんな勝ち組に分類されるはずの自分がなぜため息をついているのか…
それは職場の上司が関係している。
その上司は社長の息子らしく、いわゆるコネ入社という形で入社してきたのだがこの息子がとにかく図々しい。
自分は仕事出来ないなにも関わらず他人には膨大な量の作業を要求し、人の功績は自分のものとする。
そんな彼はもちろん同僚に嫌われてるいるし私も嫌いである。
人の功績を奪い自分の失敗は押し付ける彼をよく思うものなんていなかったが、社長の息子であるが故に文句を直接口にするものもいなかった。
この日私はその上司と重要な取引先へと赴いたのだが上司がここでとんでもない失態を犯す。
なんとプレゼンの資料と別の書類を取り違えて持ってきたのである。
それでも何とかしようと資料がない中、抗いはしたが結果は無惨であり契約は成立しなかった…
このことの痛手は大きく今回のことで失態を犯した上司にも罰があるだろうと私は考えていたのだが…
「えぇ!?どうして私がこのような処遇を受けなければならないのですか!」
どうやら上司は今回の失態の原因を私に押し付けて来たらしい。
息子を溺愛する社長相手に言い訳は通じる訳もなく私は降格処分を受けることになった…──
「どうして私が処分を受けなければならないんだ!自分の立場を利用して部下に責任を押しつける…そんなの納得行くわけがないじゃないか!」
今日の出来事を思い出し怒りを口にする。
もう夜遅いこともあり、外には誰もいないから自分の気持ちを口にする。
こんな感じで愚痴を言いながら歩いていると何か…人を踏んだことに気づいた──
「今、何か踏んだような…」
私はスマホのライトで今踏んだところを照らすとそれが女性であることが分かった。
思わず慌てていた自分であったが既に自分が住んでいるマンションの近くだったこともり女性を背負方に背負い一旦連れていくことにした。
家に着いた後、改めて彼女の姿を確認してみるとその服装は白い布をまとったもので、下は何も履いていない格好で思わず目を背けてしまった。
彼女の正体は分からないが、なにかのコスプレでもしていたのだろうと思うことにした私はその汚れた布をどうするか悩んだが知らない女性の裸を許可もなく見ることは出来ず、下に毛布を敷いたソファの上に移動させ起きるのを待つことにした。
──次の日
私はどうやら眠気に負け彼女が目を覚ます前にソファにもたれ掛かる形で眠ってしまったらしい。
この女性が目を覚ます様子はまだなくとりあえず朝食を作るこためキッチンへと向かう。
昨晩の疲れが残っているのもあり朝食は適当に冷凍の米とインスタント味噌汁と作り置きにの惣菜を食べることにした。
お湯が湧いたのを確認してインスタント味噌汁を作っていると女性らしきものの声が聞こえた。
「ふぁーあ あれぇここどこぉ?
んぁーなんかいい匂いがするぅ…」
どうやら朝食の匂いにつられたのかあの女性が目を覚ましたらしい。
朝食を食べる前に私は昨夜の出来事とここに連れてくるまでの経緯を説明することにした。
「──ということがあって貴方を保護したのですが、大丈夫でしょうか?」
家に連れ込んでしまったことに謝る形で私は確認をとる
「いえいえ!むしろ倒れた私を家まで保護してもらって恥ずかしい限りっていうか…迷惑かけたのが申し訳ないです…。」
どうやら許して貰えた様だ。
すると「ぐぅ〜」
彼女のお腹が鳴る
そのことを恥ずかしがるように彼女の顔が赤くなるを
「よければ朝食をつくったので一緒に食べますか?」
彼女はその言葉を聞いて嬉しそうな顔をつくり答える。
「はい!もちろん!」
一緒に朝食をとった後、今日が休日であることに感謝しつつ女性に対し倒れていたことの経緯とどこに住んでいるかの確認をとることにした──
「それが、どうしてあんな所に倒れてしまっていたのか覚えないんですよねぇ うーんでも、もしかして…」
彼女は倒れた経緯を覚えていないことを伝えながら小さな声で何か言いながら考えた素振りを見せる。
「どこから来たのかは覚えていますか?」
彼女が誰かと一緒に住んでいてその相手に心配かけているんじゃないかと考えた私はそう質問をする。
「あー、え〜と…」
彼女は何か考えた素振りをしながら言葉を口にする。
「一旦体洗ってからでいいですか?」
うっかりしていた…相手は女性なのだから汚れた状態でいるのはあまり気分がいいものではないだろう。
彼女にお風呂の場所を伝え着替えを渡した。一人暮らしの男が女物の服なんて持っているはずもなく仕方が無いので男物の服とパンツを渡すことにした。
それから15分ほど経過し彼女がお風呂から出てきた。
お風呂から彼女を見た私は見惚れてしまう。
最初は汚れていて分からなかったが改めて見ると彼女の肌は雪のように透き通り腰まで伸びている金色の髪は1本1本が輝いて見える。
そんなことを考えていると彼女が口を開く。
「あの…私実は家が遠いというかないって言うか…空の上っていうか」
どういうことだろうか?
しどろもどろに答える彼女は何かを決心したかのような顔つきになりその言葉を口にした。
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