CAR.11 ネコとツナ缶と夜

その日も、俺はヤビツにいた。「ふぅ〜。ブラックってやっぱり美味いなぁ。」そのコーヒーを片手にリアのタイヤを診る。「少しだけどタイヤが減ってきてるな。新しいタイヤを買わないと。」



そして、あたしは今日も青空とともにヤビツに向かっている途中だった。「今日もまたボンネットで寝るの?」あたしが信号待ちで青空に質問すると、「ミャ〜」と返事をする。ほんとにボンネットの上の寝心地がいいんだね〜。確かにボンネットの上は少し温かいから青空にとってはちょうどよい温度なのかもしれない。信号が変わって走り始める。「ヴォォォォウゥゥゥゥゥ」

















「さぁ。着いたよ。あたしと青空の憩いの場所に。」車を降りるとすぐにボンネットの上に飛び乗る。まだ子猫なので大してボディへの負担はないだろう。あたしは車の側で缶コーヒーを飲みながらスキール音を聴いていた。しかし、あの時にサツが来た時は危なかったなぁ。まぁなんとか逃げ切ったけど。一人で思い出に浸っていると、「ミャウ〜」ボンネットから降りてきて青空が鳴く。「どうしたの?お腹減った?」「ミャウ」返事を聞いたあたしはインテRのトランクから猫缶とツナ缶を出した。「どっちがいい?」青空はツナ缶の蓋を舐めったので、ツナ缶の蓋を開ける。「はい。どーぞ。」すると、足音が近づいてきた。「へぇ〜猫連れてきてるんだ。」振り向くと拓夢くんが立っていた。「夜の峠とネコとインテRか。おしゃれじゃん。」あたし以外ペットを連れてきてる人なんかいなかったからなんか言われると思ったけど、そうではなかった。「そうですか?ありがとうございます。」すると、拓夢くんが口を開く。「あのさ。敬語使わなくてもいいよ。あなた、本当は俺よりも年上でしょ?こっちこそ、勝手にタメ口聞いてごめんなさい。敬語使ったほうがいいかな?」「ううん。タメ口でいいよ。」再び会えた。これって運命なのかな?わからないけど。






「キミの名前ってなんていうの?この前は俺しか名前言えなくて気になってたんだ。」唐突の質問にあたしは一歩後ろに下がる。「え?あ、あたし?」「うん。」「あたしの名前は、高橋未夢だよ。」「ネコの名前は?」「この子の名前は青空だよ。」「未夢と青空か可愛い名前だね。今度からは未夢って呼ばせてもらうね。」ふぅ。びっくりした。いきなりあたしの名前聞かれちゃってちょっと緊張しちゃった。なんというかドキドキしたよ。唐突すぎるよ拓夢くんはほんとに!!




「ちょっとさ、ハチロク運転してみる?」え?いいのかなぁ。運転してみたい気はあるんだけど、だって他人ひとの車だし、それに拓夢くんがとっても大事にキレイに乗ってる車だから事故っちゃったらどうしよう。っていう気持ちがあるから乗りにくいんだ。でも乗りたい。「乗ってもいい?」あたしは勇気を振り絞って言う。「いいよ。俺は未夢のインテRで後ろから追いかけるね。」「うん。危なくなったらすぐに停まって運転代わってもらえる?」「おっけ。」












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