CAR.7 新たなる凄腕少女ドライバー

ヤビツ峠下り。「ヴォウヴォウ」「コク」「ウォウウウ」まだだ。やはりこのやり方だと次のコーナーが来たときにどうしても判断が遅れる。「コク」「ヴォウァァァ」スキール音を立てながらコーナーを抜けていく。“ワンハンドステア”まだ私には早かったかしら?判断力に遅れを取っては事故に繋がりかねないのは知っている。




でもそうでもしないと運転技術ドラテクは向上しない。でもやっぱり怖い。あたしのインテRが傷つくのが怖い。あたしが怪我するのが怖い。全てに恐怖を持っている。『そんなに怖がってはドリフトなんてできないわよ。』ママ...。でも、やっぱり強気でいかないとね!!




「コクン」「オウァァァァァ」「私の得意技!!“インテR!Fドリ!!”」ホントはFRが買いたかったんだけどS2000が高くて買えなかった。こんな時代にFFに乗るのはどうかと思ったかもしれないけどあたしは大のホンダ党だ・か・らしょうがないんだよ?ホンダがS2000を安く売ってくれれば買ってたのにさ。ほんっと良くないよね。最近の中古車市場はさ。『◯◯センサー』とか『◯◯ネット』とかどこの市場も500万とか『状態がいいので800万でーす。』とか平気でほざきやがって。いい加減にしてよね。





だからあんまり値段に張らないインテグラ タイプRを買ったんだ。そうそう。私の乗ってる車は『ホンダ・インテグラ タイプR (DC2)』だよ。

FFで5速MTだから乗りやすいけど、北海道の方では前輪駆動はきついかもしれないから、それでも乗りたいって言う人はいいかもだけど、覚悟が必要になってくるよ。最近このヤビツですんごい速いハチロクがいるって聞いたから、わざわざ湘南から駆けつけたんだ。今は路肩にハザードを焚いて停まってるんだけど、早く来ないかなパンダトレノ。結構可愛い名前でしょ。

パンダって。ハイテックツートンって言って白がベースで黒のストライプのような色が入ってるんだ。だからパンダトレノって呼ばれてるよ。あ、後ろからスキール音が聞こえてきた。





彼が来たかもしれない。「...来ないなァ。もういいや。行っちゃおう。」暫く走ると横Gのきついコーナーが来た。何か黒い物体がいる。「ヴォォォォ」「コク」「ヴォォォォ」「うわぁ、猫ちゃんだ!!」「キュイイイ」「ミャウウウッ」猫ちゃんを轢きそうなところで車を止めることに成功した。「危なかったァ。どこから来たのかなこの猫ちゃん。」鈴は付いてないし、野良猫なのかな?どうなんだろ。

いないなら、飼っちゃおうかな。とりあえず道端にいた野良猫ちゃんを自分の愛車に乗せ、下りを走っていく。今回はあたし以外に猫ちゃんが乗っているので、ドリフトをしたり、飛ばしたりはせずダウンヒルを走ることにした。

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