CAR.5 同じハチロクでもなんか違う

朝帰りをした俺は午前4時頃にヤビツの下りを走っていた。後ろから1台ものすごい速いのが来てる。なんだ?「ウォヴウゥ」その車は、『トヨタ・スプリンタートレノ (AE86) GT-APEX(2ドア)』 だった。型式はおそらく前期型だと、いや違う。1985年式の後期型だ。なんという速さ、こんなやつ今まで見たことないぜ。



しかも、2ドアか、なかなか良い選択だと思う。

そんなことを考えていると、「ウォウウウ」横から抜かれてしまった。「何ィ?横から抜いてきた?いや、いないな。」よし。「グッ。」少しアクセルを強く踏み、4トップに入れる。



すると、右横が急に明るくなった。何だ?まさか『ブラインドアタック』か?「くっ、抜かれる。」俺は、あっさり抜かれてしまい、抜き去られてしまった。昨日治療したハチロクといい、今抜かれたハチロクといい、何なんだ?一体。



横Gがきつくなってきた。「コク」「ヴォォォォ」追っても追っても追いつけない。むしろ、離されている。「くぁー、待てぇーい。」俺が叫んでも、あのハチロクが待ってくれることはなかった。「はぁ、完全に振り切られちまった。」俺は諦め、コンビニに寄って、アイスコーヒーをかった。「何だったんだ?あのハチロクは。」



とても気持ち悪いハチロクを見た。一人でアイスコーヒーを片手にぼんやりしていると、「やっぱりハチロクはかっこいいなァ。」一人の男が俺のハチロクを鑑賞ている。「あっ、すいません。」俺のことに気づいたらしく、じっくり鑑賞していたことを謝ってきた。「い、いや、別にその、鑑賞てくれてもいいよ。」俺はもう一口、アイスコーヒーを飲み、彼に聞く。「君も走り屋の一人?」俺の質問に彼が答える。「はい。まぁ峠じゃなくて高速道路を走り回る方の走り屋です。」そうか。彼は高速道路を猛スピードで走っている方の走り屋か。彼が乗っている車は『日産・スカイラインGT-R (BNR34) V-specⅡ (2002年式)』である。馬力は脅威の840馬力だという。まぁ、湾岸を走るにはこのくらいのパワーが必要だろう。俺のハチロクとでは勝負にならない。





互いが車好きということもあって1時間ほど、コンビニの駐車場で談笑してしまった。「おっと、もうこんな時間か。俺はこれで。」「うん。またどこかで会えたら。」「ヴォォォォ ツシュー ウォウウウ」RB26DETTのサウンドを奏でながら走り去っていった。「やっぱり、いい音だよな。R34もそうだけどスカイラインGT-Rのエンジンって。」俺は一人でRの凄さに浸ったのだった。

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