CAR.3 Summer Vacation

「ミーンミンミンミン」まぁたこのクソ暑い時期がやってきてしまった。天気予報では30度を超えるらしい。ふっざけんな。死んじゃうだろ。しかも今日はバイトが入っているので、バイト先に行くのに車が必要なのだが、ハチロクはエアコンの効きが悪すぎて無理!!



窓を開けても熱風が入ってくるのであまり意味がない。というわけで、母さんのFDを借りられるか聞いてみることにした。あの車のほうが何十倍もハチロクよりエアコンの効きが良い。



「母さんー。FD乗ってってもいーい?」すると、「今日は予定があるから無理ねぇー。」という返答が返ってきた。まじかよ。嘘だろ。こうなれば仕方がないので、黙ってハチロクに乗っていくことにした。




バイト先に向かうと先輩が近寄ってきた。「おう、拓夢。今日は車で来たんだな。」俺はあまり車でバイト先に向かうことがないので、先輩に自分の愛車を見せるのは初めてからもしれない。「今日は暑すぎるので、流石に歩きではこれませんでしたよ。」今の気温は34度。歩きで来ていたら、途中の道で倒れて死んでいたかもしれない。



「あ、いらっしゃいませ~。レギュラー満タンですか?かしこまりました。」俺は1台の客(日産・X-TRAIL 32型)の給油、窓拭きをこなした。「ありがとうございましたー!」

俺はそのエクストレイルを見送ると、先輩が近寄ってきた。「暑くて死にそうだよな。拓夢は少し、店舗に入って休んでいいぞ。」



先輩に言われ、涼しいエアコンの効いた店舗に入る。「ふぃー、生き返るぅ。」設定温度は18度に設定されている。涼しいわけだ。バイトが終わって帰ろうとしたら、「今からヤビツに行かないか?」と先輩に誘われた。俺は少し考えて、明日は部活もバイトも休みだったので、行くことにした。「行きましょうか。」先輩からは「そうこなくっちゃな。」と笑っている。



ヤビツに行ってみると平日だったので、あまり人の数はなかった。走り屋気取りかどうかはわからないが、チューンドカーは何台か止まっている。1台、目に留まる車がいる。『スイフトスポーツ』だ。4駆かFFかどっちだろう。タイヤの回転を見る限りFFの可能性が高い。まさかのFドリ使いか?どうかは分からないがFドリをしつつ次のコーナーへ消えていった。



すると、続いて追いかけるようにして、俺の持っているハチロクと同じ前期型のGT-APEXが走っていった。「速いなぁ。あのハチロク。」




何馬力くらいだろう?俺のと同等か、または上なのか。分からない。でも一度だけ、バトルしてみたいと思った。同じハチロクだし、前期型だし、GT-APEXだし。何よりも同じ車に乗っていることに誇りを思う。「先輩、あのハチロク追いかけませんか?」俺はハチロクのドアを開けて、先輩に声をかけた。「いや、無理だ。今から追いかけても追いつくことは出来ないと思うから。」先輩は冷静に考え、解答を出した。よく考えてみれば、確かにそうだ。今から追いかけたとしても追いつくには無理がある。



すると、「ウォウウウ....キィ」見覚えのある180sxが駐車場が入ってきた。「あ、拓夢くんだー。」やはり、星奈ちゃんだったか。「拓夢の知り合いか?」「えぇ、高校の同じクラスの子です。」前にバトルをしたことがあるが先輩にはまだ言っていなかったな。「3台で走りに行きませんか?先輩?」

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