CAR.2 手強い相手
「ウォォォォ」....まさか同級生の女のコと対戦することなるとは。俺は、ハチロクのエンジンをかけ、ヤビツ峠の頂上から崖下を見下ろす。
うわっ、怖すぎだろ。下を見てみると下から頂上までは2943mある。こんなに高いとは思わなかった。ん?よく考えたら2943?に、く、し、み?こっわ!?うっへぇー....。沈黙していると、「ヴォォォォ...キィ」1台の180sxがエンジンを切る。「拓夢くーん」バトルの説明をしよう。先行と後行を決めて、先行の人が好きなタイミングでスタートすることになっている。後追いの人が抜くか、先行の人が引き離すかで勝負が決まる。「用意はいい?星奈ちゃん?」「うん。できてるよ。」それぞれ車に乗り、空吹かしをする。
「よし。いい音だ。」するとスマホが震えた。「そろそろスタートするね。」丁寧に教えてきた。こんな丁寧に教えるライバルなんてあんまりいないのに偉いな。すると、「キキィ....ヴォォォォ」バトルが始まった。まずは後ろからじっくり見させてもらおうかな。そして数分走っていると、1つ目のコーナーが見えてきた。さて、ヒール・アンド・トウを使う時が来たか。「ウォウウウ....」「コク」ガードレールとの差1cm程まで寄せ、最短距離を行く。「た、拓夢くん? くっ、速い。3
現状を言うと右側が空いている。そこに俺が入るのだ。「ウォォォォ」「ひゃ、抜かれちゃう。」呆気なく右からスパーンと抜くことに成功した。あとはこのまま引き離せば俺の勝ちになる。しかし、そんなに甘くはないだろう。ミラーをみれば少しずつではあるが差を詰めてきている。「くっ、手強い!!」そのまま走り続けているときついヘアピンが迫っていた。「くそう!!」「ウォウンン」「コク」「拓夢くんって免許取ったばっかりなのになんでこんなに上手なんだろう。後で聞いてみよ。おっ、カーブだ。2速まで落としてっと。」「コク」「ヴォォォォ」俺は引き離すことができず、麓まで来てしまった。
あ〜、なんでもいいから引き離したい。「ギュ」「ヴォォォォ」そして最後は俺が100m程離して勝利した。2台を路肩に停め、ハザードを焚く。「速いんだね。拓夢くんって。」星奈ちゃんが俺の方に近づいてきて言う。「そうかな。最後のところでしか引き離せなかったから星奈ちゃんも十分速いよ。」お互いにお世辞を言い合いながら満月を見上げていた。
それにしても180sxがあそこまで食いついてくるとは思わなかった。自分の走りについて、見直さなければいけないと思った。苦しい展開になる前に気づけて良かったと思う。次に進むための材料になったのだ。チューンの見直しをすることにした。
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