第二回 短編作品の紹介(#1~15)
インタビュアー:砂原(仮)
受け手:西奈りゆ
西奈:はたして需要があるのかと思うのですが、前回の記事を目に留めてくださった方がいらして、結果このような機会をいただけたことを、ありがたく感じ入るばかりです。(注:このエッセイは気楽に書けるので、気分転換になっています!)
砂原:私もです。カクヨム様には、魅力的な作品が数多ありますからね。
そんな中からお時間を割いていただけて、聞き手としてもやりがいがあります。
♦短編作品について
砂原:ところで、西奈さんが去年カクヨムに登録されてから、今年一月までの一年間で書かれた作品が15作ですね。短歌・詞集は別にして。差し支えなければ、今回その一年間の作品について、端的にご案内いただければと思うのですが。
西奈:そうですね。さすがに全部を細かく辿るわけにもいかないので、特徴のあるものや転機になったのではという作品に絞って、ご紹介させていただければと。
♦初期作品と、「人間の暗い部分」
砂原:「口に合わない望みは食えない。」に続く2作目、「
西奈:あれを書いてから、『余白』を意識し始めました。あえてぼかしておいて、後は余韻の中で読者様に想像していただく、空欄を残すようなことを、好んで試みていたことを覚えています。3作目、「タッパーにつめて。」も、それであのような終わり方にしています。
砂原:余白と言えば4作目の、「うそついたら。」もまた、不気味な余韻が残った作品でした。
西奈:あれも、10行で終わってしまう、小説というより、歌詞ですよね。実際、もとが有名な童謡なので。書いていて、すごく心が落ち着いたのを覚えています。もともと普段の読書(出版物)でも、明確なハッピーエンドのものに馴染めなくて。
砂原:そこには現実感がない、というような?
西奈:そんな積極的な理由ではないです。というより、他に優先して覗き込みたいものが自分にとってたくさんある、という感じです。10代の頃はいわゆるアングラサイトに入り浸っていて、何冊もノートを自作したりファイリングしていたりしたので、もともと関心がそちら寄りの人間なのかもしれません。中学生の時だったか、高校にも入っていないのに、大学で「人間の残虐性はどこからくるのか」的なことを書きたいと思っていました。
砂原:ずいぶんと早熟ですね。
西奈:その年齢だから許される妄想ですよね。そういいつつも、カクヨムを開始した初期はその気持ちに近いものが大きかったです。そういった思いや感じ方があって、以降に続く作品はしばらく、『人間の暗い部分』をテーマに、模索していた感じですね。
砂原:作品順でいうと、「洗い物。」(#4)や、「母の話。」(#5)、「捨てる日。」(#7)、「お幸せに。」(#10)、「お見舞いに来てね。」(#13)、といったところでしょうか?
西奈:そうですね。いかにもな初心者中の初心者の迷走という感じなので、自分の中では黒歴史に近いです(笑)。その辺りの作品はネット上の言葉でいう、いわゆる「意味が分かると怖い話」を意識して書いていました。「書かない」という、「空白」と相性が良かったので。
♦転機
砂原:西奈さんの作品を年度順に拝読したのですが、「ある豚の話。」(#6)や、「パン屋の神様。自称です。」(#8)の方向性は、意外でした。
西奈:あの2作は初期作品の中でも人気でしたけれど、じつは僕自身が意外でした。
「え、自分ってこんなキャラだっけ?」みたいな(笑)
砂原:今挙げていただいた2作品については、西奈さんの中ではどういう位置づけなのでしょう?
西奈:前回お伝えした、「柔軟性」の
砂原:なるほど。そう考えてみると、「今年の夏は、きっと雨になる。」(#9)や、「画用紙を置いて。」(#10)といった恋愛要素のある作品や、「たまごとおでんと、大根と。」(#14)や「道交法と銃刀法。」(#15)といった、ヒューマンドラマが展開される作品など、1つ2つと、持ち駒を増やされたような印象を受けます。
西奈:そう考えると、この時期の紆余曲折と、それにお付き合いしてくださった読者様の存在はとても大きかったと思います。
♦第二回を終えて
西奈:ところで便宜上、今回は既出の短編のうち半分をご紹介したのですが、このインタビューって、どこまで続くんでしょうか?
砂原:なんとも言えませんね。私どももただ働きというわけではないので、需要があればまたお伺いするかもしれません。
西奈:シリアス!(笑) ではまた、お会いできることを願っております。
砂原:本日は、ありがとうございました。
(お読みくださった方、ありがとうございました!)
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