第67話 瞑想のすすめ
「……まずいな……」
「……まずいね……」
野茂に言われるまでもなく、さっさと眠るためにさっさと帰宅した俺たち。
特に璃子はいろいろと疲れ果てていたようで、一瞬で眠りに落ちてしまった。
まぁ、今まではずっと精神的に張り詰めていただろうしな……。俺と舞香が子作りしないか見張ってなきゃいけないような気持ちもあっただろう。そんな重圧からも解放されて、本当に久しぶりにぐっすりモチモチと寝られているのかもしれない。
一方の俺と舞香は、正反対だった。
大きな問題が一段落したことで、ある点について直視せざるを得ない精神状態になっていた。結果として、寝付けなくなってしまった。脳のいろんな回路が覚醒してしまったような感覚。リビングで二人、お目々ぱっちりのギンギン状態。
だって、実際はこいつ妊娠してないからなぁ……! 今日と明日の大チャンスに妊娠してもらわなきゃいけないからなぁ……!
「いや、うん。さすがに明日だよな? 今日も、なんてことになったら、マジで一睡もできないことになるぞ、俺」
「当たり前っしょ。エロい目で見んなし」
俺の隣、ソファの上で、自分の身を抱くように後ずさる舞香。そんな赤面してえちえちムチムチオーラ漂わせながら言われてもなぁ……!
もはや存在するだけで俺の子作り欲求を刺激してくる女、俺の元妹で、現婚約者、近い将来の妻――舞香はやっぱり今夜も可愛すぎるのだった。眠れん。
「ここはやはり瞑想か……」
「迷走?」
「瞑想だ。舞香もやってみろ。雑念を排して心を落ち着かせることができるぞ。こうやって、座禅を組んでだな……」
ソファの上で舞香と共に背筋を伸ばし、ゆっくりと目を閉じる。
――今の俺たちは、頭の中で思考が渦巻き、心がざわついている状態だ。一つ一つの感情が互いに押し合って、どこにも行けずに暴れ回っているようなもの。だから呼吸が浅くなって、体は疲れているはずなのに目が冴えてしまうのだ。
こういうときはまず、呼吸に意識を向ける。鼻から吸って、ゆっくりと吐く。
「すぅーー……………………ふぅーー……………………」
「すぅーー……………………ふぅーー……………………」
俺の深い呼吸に、隣の舞香も続いてくれる。うん、良い感じだ。
呼吸のリズムに合わせて、心の中の騒がしさを外に追い出していくわけだ。吸う度に体が軽くなり、吐く度に心の中の重たいものが流れ出ていく。ジャスミン。えちえち。えちムチ。
「すぅーー……………………ふぅーー……………………」
「すぅーー…………赤ちゃん…………ふぅーー…………久吾の赤ちゃん…………」
ただし、頭の中に浮かんでくる思考を無理に追い払おうとしてはいけない。ただただそこにあることを認めて、また呼吸に戻る。今は何も考えない。息をするだけ。空気が肺に満ちていく感覚、それがゆっくりと体を離れていく感覚。それだけに集中する。なぜ舞香の息遣いはこんなにもエロいのか。今のこの深い呼吸を、明日俺がベッドで乱れさせまくってやることを考えると勃起が止まらん。
「すぅーー…………ムチムチ舞香に…………ふぅーー…………中出し…………」
「すぅーー…………受精…………ふぅーー…………着床…………」
いつの間にか、心のざわめきが少しずつ静かになっていくのが分かる。『今』この瞬間だけに意識を向けると、『未来』への不安や『過去』の後悔が薄れていく。ただ、ここにいる。それだけでいい。早く孕ませたい。舞香を絶対孕ませる。明日種付けしてやる。ふざけんな、15年間も待たせやがって。焦らしやがって。俺の金玉は15年間お前を孕ませまくるためだけに過酷な労働してきたんだよ。ぜってぇ分からせてやる。生意気な妹の子宮に俺のガキを仕込んで、明日から本当の意味で俺の嫁にしてやる。
「すぅーー、ぜってぇ孕ませる。お前のムチム膣内に、ゴールデンえちム膣内に、射精しまくってやる。覚悟しとけよマジで。妹でいられるのも今日までだからな。お前の処女は俺のもんだ。孕め。15年間お前に恋し続けた俺の思い、全部精子に乗っけてお前の中に注ぎ込んでやるからな!! 中出し!! 危険日舞香に中出し!! 15年分の中出しだ!! 中出し中出し!! 舞香の処女まんにゴールデンえちえち中出し!! 中出し!! 中出し中出し中出し!! 孕め孕め孕めぇ!! ふぅーー……………………」
「すぅーー、孕む!! 久吾の赤ちゃん絶対産むんだもん!! 覚悟なんてとっくにできてるもん! 15年間ずっと準備してきたもん! 私の子宮は最初からずっと久吾の赤ちゃん専用だもん! 久吾の赤ちゃんが一番過ごしやすいように整えられたお部屋だもん!! 早く久吾の赤ちゃん招き入れたいの!! 久吾の匂い嗅いでるだけで排卵しちゃいそうなの!! 久吾の精液美味しいの!! 飲んだら排卵しちゃうの!! 排卵!! 排卵排卵排卵!! 排卵!! 中出し!! 排卵!! 中出し排卵!! 中出し中出し中出し!! 排卵排卵排卵!!
呼吸が深く、安定してきた。中出し。体の力が抜け、心の中の波も穏やかになっていく。中出し。もう一度ゆっくりと息を吸って、吐く。中出し。すべてが静かだ。眠れん。
「何をやっているの、君たち……何でわたしの息子、瞑想しながらフル勃起しているの……? 何でわたしの娘、瞑想しながらソファぐしょぐしょにしているの……? 久しぶりの親子の再会がこれ……? ゲームの中でも相変わらず頭おかしい……」
せっかく落ち着いてきた心を、突如として乱してくる声。何となく聞き覚えのあるそれにイラっとしながら目を開けると、
「は?」「え?」
「うん。いやそういう反応になるのもわかるけれど。久しぶり、久吾君、舞香ちゃん。ママです」
「ママかよ」「ママじゃん」
思わず真顔でツッコんでしまった。
俺たちが見上げた先にあったのは、黒髪ロング美熟女の気まずげな微苦笑であった。爆乳であった。ていうか、前世での俺らの母親――俺の継母であり、舞香と璃子の実母――
そして俺はフル勃起、舞香はぐしょぐしょであった。何の役にも立たんな、瞑想。まさに迷走。言ってる場合じゃない。
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完結まで残り二話!^^
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