第4話
4話「人生のリスタート」
ピンポーン
インターホンの画面を覗くと、そこには功翔政府の制服を着た人物が映っていた。
「あら、政府のお方?どうしたのかしら?」
ガチャリ
「先日、お宅の息子さんが国外逃亡を試みていたようですが、何かご存知で?」
「国外逃亡?私は何も知らないわよ」
「しらばっくれるか…まぁいい、それでだな、その息子は亡くなった」
「え…?麗也…?」
「船ごと波に呑まれたんだよ、海のど真ん中でな!いい気味だよ!国に背いて法を犯したやつが死ぬってのはな!」
「…帰ってください」
「国の命令でここに来たんだ、逆らったらどうなるかわかってるよな?さぁ、犯罪者の魔法使いについて話を聞かせてもらおう!」
「帰ってください!」
麗也の母は勢いよく戸を閉めた。
「おい!そんなことしてどうなるかわかってんだろうな!おい!開けやがれクソババア!この野郎!」
…ドアが開くことはなかった。
「麗也…」
家族というというかけがえのない存在を、たった数日にして失ったのだ。
麗也の母は、ただ絶望した。
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オーイ…
オーイ…
おーい!
…聞こえたのは波の音に混じった老婆の声。
潮の匂い…頬を撫でる風…
「ん…?」
地面についた手と顔にはじゃりじゃりとした感触がある。下半身は水に浸っている。
ここは…砂浜の上…?よかった、運良くどこかの国に流れついたのか…?
「おーい、あんた、大丈夫かい?」
「はい…大丈夫…です…」
「おう、起きたか、よかったよかった!」
「ここは…?」
「ん?ここかい?ここはリーデだよ?」
「リーデ…?」
外国の名前なんて学校で習わなかったし知らないな…でもとにかく、あの国から出れたんだ…自由だ…!
「ウチの国の名前を知らんのかい…?あんた、どっから来たんだい?」
「功翔から…亡命してきました。」
「そうかい…大変だったでしょうに…あのひどい国から逃げてきたんだねぇ…」
…亡命してきたはいいけど、これから、どうしよう。
「とりあえず、今日はうちに泊まってお行きや。」
「ありがとうございます。」
…まぁ、それを考えるのは後でいいか。
今は…とにかく疲れたんだ。
4話 終
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コラム
文化
この世界では、言語が統一されている。
世界を再建し人々が協力していく過程で、言語が少しづつ統一されてゆき、多くの言語が混ざった独自の言語が生まれた。
そこから国々が出来ていっても、言語には多少の訛り以外の変化は無く、現在、世界で言語は統一となっている。
世界の言語が入り混じった言語なため、人名や国名は地域によって多種多様である。
主に国を建てた者やその親たちの母国(核戦争前にあった国)で使っていた言語と類似の言葉が、その国で用いられることが多い。
国の文化も、言語のように元あった国のものであることも多いが、様々な国の文化が混ざったり、核戦争以前と変化した地形や気候に合わせた新たな文化も生まれたりした。
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