第9話 ぱふぱふ命令




 『戦母神』アルネリア。


 彼女には様々な伝説があり、帝国を救ったのも所詮はそのうちの一つでしかない。


 アルネリアのあらゆる伝説のうち、最も有名なのは帰る家がない子供に「うちの子にならない?」と声をかけるというもの。


 場所が場所なら事案になると思う。


 しかし、この問いかけに頷いた子供は大人になるまでアルネリアがしっかり面倒を見る。


 子供を保護し、大人になるまで愛情を注いで責任を持って育てることから、アルネリアの元々の異名は『母神』だった。


 そこで帝国の窮地を救った功績から『戦母神』となったのだ。


 では何故、アルネリアは子供を守るのか。


 純粋な善意か。答えは否、むしろ下心に満ちたものである。



「私、子供に『ママ』って呼ばれると興奮するの」


「い、意味が分からない……」


「大丈夫よ、ナディアちゃん。ママに沢山甘えていいの!!」



 そう言って自らに宣戦布告したナディアを抱きしめるアルネリア。

 おお、アルネリアの爆乳とナディアの爆乳が押し潰れて柔らかそうだ……。


 二人の間に挟まりたいぜ。



「あら、ティオさんったら♡ ティオさんもママに甘えたいのかしら?」



 俺の視線に気付いたアルネリアが問うてくる。


 普通の男だったら、あまりにも魅力的すぎる誘惑に何か裏があるのではと勘繰るだろう。


 しかし、俺は彼女の人となりを知っている。


 だからこそ俺は一切の迷いなく、満面の笑みで彼女の問いに頷いた。



「――うん!!」


「ちょ、待て待て、ティオ殿!! いい笑顔で混ざりに行こうとするな!!」



 混ざろうとする俺を慌てて止めるカレン。


 しかし、俺はカレンの俺を止めようとする手を回避してアルネリアとナディアの間に挟まった。


 おほ、全身を柔らかい肉に包まれるぅ!!



「むぅ、ティオ様っ♡ 私も仲間に入れてくださいっ♡」



 と、ここで仲間外れにされて寂しかったらしいアヴィアも参戦。


 おっぱい三昧である。



「ぁ、うぅ……」


「うふふ、カレンちゃんもママと一緒にご主人様をぱふぱふしたいの?」


「い、いや、私は、その……」


「カレンはティオさまにご奉仕したくないらしい。新人のくせに生意気」


「うっ、そ、そういうわけではなくて!!」



 ナディアが鋭い視線をカレンに向ける。


 仲良くはなったが、俺への奉仕という点では妥協しないナディアだ。


 しかし、本当はカレンも混ざりたいのだろう。


 一度は俺を止めようとしてしまった手前、自分から混ざりたいとは言えなくなってしまったに違いない。


 まったく。


 カレンは仕方ない性奴隷だな。そういうところが可愛いのだが。



「カレン、お前も一緒に俺をぱふぱふしろ」


「あっ♡ う、うむ♡ ティオ殿の命令なら、従わねばならないな♡」



 俺の命令に従い、嬉々として集団ぱふぱふに混ざってきたカレン。


 右も左も前も後ろもおっぱいばかり。


 視界の全てが爆乳美女で埋まることの圧倒的幸福と優越感が分かるのは俺だけだろう。



「ふぅ、ふぅ、やばい。このあと冒険者組合に行ってギルド登録しなきゃいけないのに、すっかり元気になっちまった」


「「「「――ッ♡♡♡♡」」」」



 俺はそのまま孤児院でハッスルしてしまった。


 アヴィアとナディアは以前買っておいた逆バニースーツとバニースーツを各々装備。


 アルネリアはシスター服を改造した、ボンテージシスター服を着た。

 スリットが深く入っていて、チラリと見えるボンテージ製のニーハイブーツが背徳的で興奮を抑えられない。


 残ったカレンはそういう服を用意していなかったので、今回は何も装備しない。


 そう。何も、な。



「今度カレンのエッチな服も買いに行こうな」


「い、いや、ああいうのは裸より恥ずかしいから遠慮しておこう」



 とか言いつつ翌日には俺とカレンでデートがてらチアガール衣装を買った。


 試着で恥ずかしそうなカレンが可愛かった。


 とまあ、色々ありはしたが、俺はハーレムギルドを作るための下準備を整えるのであった。










「こちらがF級ギルド認可証になります。紛失した場合は絶対に組合に報告してくださいね」


「はーい。お姉さん、ありがとう」



 俺はE級ギルドを無事に作ることができた。


 ギルド名は【ぱふぱふ爆乳美女ハーレム】にしたかったが、カレンが猛反対してきた。


 ナディアは「流石はティオさま、素晴らしい名前です。最高です」と大絶賛してきたのだが、カレンが断固拒否したのだ。


 俺はネーミングセンスが壊滅的らしい。


 結局ギルド名は【新星】という名前で落ち着いてしまった。


 ああ、そうそう。


 俺が予想していた通り、【闇夜の星】は解体するに至らなかった。


 所属冒険者の大半が賛同しなかったのだ。


 S級ギルドから落ちぶれてしまったとは言え、未だA級ギルドである【闇夜の星】を潰すなど馬鹿な話だと思ったに違いない。


 それでいい。


 俺はハーレムギルドを作るつもりだが、ギルド運営に支障がない範囲で【闇夜の星】に所属していたパーティーを再勧誘しようと思っている。


 カレンの望みは元の【闇夜の星】を取り戻すこと。

 より具体的に言うなら、いなくなってしまった仲間たちが戻ってくることだろう。


 そのためにはトラブルを起こしかねない連中ばかりが残っている【闇夜の星】に檻の役割をになってもらうべきだ。



「さて、と。無事にF級ギルド【新星】を設立し、そこそこ広いギルドホームも買った」


「ティオさま、次は何をするのですか?」


「いい質問だ、ナディア。あとは地道にクエストをこなしたり、元【闇夜の星】所属のパーティー、特に幹部を務めていた奴らが率いるパーティーを再勧誘したりするわけだが……。多分、後者は上手くいかない」



 俺のセクハラやパワハラは相当嫌がられていたらしいからな。

 俺がギルドマスターを務めるギルドに再び入りたい奴は少ないだろう。



「まずはクエストをこなしながら、新人冒険者パーティーを勧誘してギルド拡大を図る」


「ふむ、それが無難か」


「――なんてしてたらS級ギルドになるまで何十年かかるか分からないので、裏技を使う」


「む? う、裏技?」



 裏技という言葉にカレンが怪訝な顔をする。


 ここで言う裏技というのは、賄賂のような不正のことではない。


 場合によってはやるがな。もっと健全だ。



「他のギルドを吸収する。まずは同じF級ギルドか、可能ならE級ギルドを狙う」


「な!?」



 商人もよくやる手口だ。


 無論、直接暴力を振るってこちらの正統性を損なうような真似は絶対にしない。

 提携を持ちかけて、相手ギルドが了承したならそれでもいい。


 逆に断られてしまったら、そのギルドが頻繁に請け負っているクエストを横取りして収入を絶たせる。


 収入を失ったらギルドは苦境に陥る。


 ギルドは毎月組合に一定の金額を納める必要があるからな。


 相手ギルドが苦境に陥ったら改めて提携という名目で手を差し伸べ、徹底的に搾取する。

 提携という名の隷属に相手ギルドが文句を言ってきたら、あとは頃合いを見て吸収合併の提案をするだけでいい。


 そうしたら二つのギルドが一つになって、大きくなる。



「まずはF級ギルド【蒼き炎】を狙おうか」



 俺はニヤリと笑う。


 え? どうして【蒼き炎】をターゲットにしたのか、だって?

 そりゃあ君、【蒼き炎】のギルドマスターが爆乳美少女だったからだよ。







―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「作者は最初にぱふぱふって言い始めた人を尊敬する」


テ「それな」



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