第6話 土下座を要求する
「っ、そ、それは、どういう……?」
俺の「頭が高い」という要求に対し、目を瞬かせるカレン。
俺は満面の笑みで言う。
「土下座だよ、土下座しろって言ってんの。あともっと誠意を込めた謝罪を求む」
もう分かっているだろうが、俺はかなり執念深いタイプの人間だ。
後々のことを考えてギルドマスターの座を潔く退きはしたが、本当はもっとその地位に胡座を搔いて金をガッポガッポしてやりたかった。
でもギルド所属の冒険者が揃って俺の追放を望むならどうしようもない。
だから一度は退いてやった。
それでギルドが傾いたから助けてくださいってのは都合がよすぎる。
だから土下座を要求する。
普通なら自ら追い出した相手に頭を下げることだってプライドが許さないだろう。
そこで更にプライドを傷つけるような要求をしたのだ。
さて、カレンはどう出るのか。
「……分かった」
カレンはその場で跪いて、額を汚い床に躊躇なく擦り付けた。
爆乳が潰れて横乳がはみ出してる。エッロ。
「わ、我々が愚かでした。貴方がいなければ何もできないクズなのに、貴方を追放に追いやり、罵倒したことを謝罪します。ですのでどうか、戻ってきてください。ティオ・カスティン様」
俺は笑いが止まらなかった。
この俺に散々な物言いをしやがった爆乳美女が土下座してきたのだ。
勝った!! 俺の勝ち!!
「うーん、そうだなあ。そこまでお願いされたら吝かではないなあ」
「な、ならば!!」
「あー、待って待って。そうだ、思い出した。俺が去り際に言ったこと覚えてる?」
「え?」
カレンが俺にギルドマスターの座を退くよう言った時。
俺はギルドから去る前にこう言った。
『じゃあね、カレン。あ、俺に戻ってきて欲しかったら全裸土下座ね。その上で俺の性奴隷になるなら許してあげるよ』
そう。カレンは俺に土下座はしたが、全裸土下座はしていない。
え? 二回も土下座させるのか、だって?
おいおい。
俺が受けた精神的苦痛を土下座と全裸土下座で許してやろうってんだ。
自分の慈悲深さに感激してしまうね。
「ティオさま、その程度で許していいのですか?」
「ま、俺は優しいからな」
「あら……」
ナディアはもっと追い詰めろと言いたそうだ。
対するアヴィアは苦笑いこそしているが、目がちっとも笑っていない。
「ぜ、全裸なんて……」
「嫌なら別にいいぞー。俺はアヴィアやナディアとエロいことして生きるだけだし」
「ま、待て!! わ、分かった。だが、せめて人のいない場所で――」
「ダメ。ここで、この場で全裸土下座だ。性奴隷宣言も忘れるなよ?」
「っ、うぅ」
カレンが涙目になるが、俺は男女平等主義者なので絶対に退かない。
酒場の客、その中でも特に男たちがニヤニヤと鼻の下を伸ばしてカレンの身体を舐め回すように見下ろしていた。
カレンは責任感の強い女だ。
俺を追放したことでギルドが落ちぶれて、歯車が狂ってしまった。
その責任を取ろうと、俺に土下座までして戻ってきてほしいと謝罪と懇願をしたのだ。
ここまでコケにされてまだ俺に謝罪をしたなら、それは本物の謝罪になる。
さあ。どうするのか、カレン・スカーレット。
「……うっ、くぅ……」
カレンが鎧を脱ぎ、インナーを脱ぎ始めた。
そして、ありのままの姿を晒し、改めて俺の前に跪いて頭を下げる。
「も、申し訳ありませんでした。私は、貴方の性奴隷になり、ます。ですので、どうか……許してください」
思わずニヤリと笑う。
俺は席を立ち、真っ裸のカレンを隠すように服を被せた。
カレンは俺の性奴隷になると宣言した。
つまりはもうカレンに人権が無く、俺の所有物になったのだ。
「よく言えました。俺は爆乳美女が大好きだが、俺に従う奴も大好きだ。お前は合格。で、だ」
俺は裸のカレンをじろじろちらちら見ている酒場の男どもに振り向いた。
そした、ドスを効かせた声で言う。
「おい、お前ら。俺の女の裸を俺に無断で見るなんていい度胸してるなあ?」
「「「「「「っ!?」」」」」」
「ここで起こった出来事を他言したら、カレンを貶めるような噂を流したら、俺はそいつを地の果てまで追い詰めて殺す。ついでにお前らの家族も殺す。俺にはそれができるし、やる。分かったら返事をしろ。返事をしなかった奴は殺す」
「「「「「「は、はい!!」」」」」」
さっき絡んできた冒険者を半殺しにしたからか、男たちは必死に頷いた。
少なからずいた女たちも頷いている。
「ああ、生殺しは可哀想だからな。カレンの裸で小指みたいなお前らのイチモツを慰めるくらいは許してやるよ。俺は優しいからな」
俺はカレンの手を取り、助け起こす。
カレンはどこかボーッとした様子で俺の顔を見つめており、目が合うと頬を赤くして逸らした。
「ほら。行くぞ、カレン」
「あ、う、うむ……。って、どこに行くのだ?」
「宿に決まってんだろ。今夜は寝れると思うなよ。前からお前のことエロいと思ってたんだ。どうせお前みたいな堅物女、初めてなんだろ? 優しくしてやるよ」
「なっ、べ、別に初めてというわけでは、なくもないが……」
俺はカレンを宿に連れ込み、激しい運動に勤しむことにした。
カレン一人では満足できなかったので、親睦会も兼ねてアヴィア&ナディアもまとめて抱いて仲良くなってもらう。
ごちそうさまでした。
◆
私はティオ・カスティンという男が嫌いだった。
弱小ギルドだった【闇夜の星】をわずか三年でS級にまで押し上げた天才。
しかし、その実態はセクハラパワハラばかりのクズで好きになる要素は皆無だった。
たしかに顔は整っていると思うが、私は別に面食いではない。
むしろその人を食ったような態度が腹立たしく、絶対にティオ・カスティンという男に好意を抱くことはないと思っていた。
でも私は、たった一晩で変えられてしまった。
公衆の面前で全裸土下座を強要され、性奴隷になる宣言までさせられて……。
私の誇りはズタズタになった。
悔しくて泣きそうで、酒場にいる男たちの視線が怖くて、その場から逃げ出したかった。
それらの感情を【闇夜の星】を落ちぶれさせてしまった申し訳なさと罪悪感で噛み殺して、土下座した。
すると、ティオ・カスティンは聖人のような温かい笑みを浮かべて私を許した。
そのまま宿に連れ込まれ、女にされてしまった。
普通なら怒ったり、悲しんだりするのかもしれない。
でも私は……。
(どうして私はこの男を嫌っていたのだろうか)
世界に数人しかいないS級冒険者であり、巨大ギルドを運営する能力に加え、思わずゾッとするような美貌。
おっぱい好きなところもや少し背が低いところも可愛いらしい。
しかし、ベッドの上では絶倫無双。
女の身体を知り尽くしたかのような攻めは天国のような心地よさがあった。
命令に従えば優しく頭を撫でてくれるし、この人に従えば全て上手く行くと思えるような安心感がある。
(ああ、ダメだ。私はもうこの人無しでは生きていけなくなってしまった♡)
こうして私は、カレン・スカーレットは身も心もティオ・カスティンの性奴隷になってしまったのだ。
ああ、我が愛しのご主人様♡
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「エッ」
テ「エッ」
「エッ」「この主人公ガチクズで草」「なぜ惚れる……」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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