第33話 生物島
「思っていた以上に特殊な場所だね」
「生物の上だからな」
現在、魔物の情報収集のために海を回遊する生物の上に降り立ったところ。生物と言っても超巨大、無人島というよりも小さな大陸といった規模。こんな生物が一年かけて世界の海を一周している。今がこの「生物島」に乗ることができる時期。比較的陸地に近づき、30日後にはまた他の大陸に近づく、帰宅できるのはそのとき。
「見たことない生物」
独自の生態系を形成しているこの生物島。生物も植物も全てここだけの種。魔物と破獣もここだけにしかいない種がいる。この生物島は獣、魔物、破獣のどのカテゴリーにも所属していない。背に穴が空いておりクジラの一種ではといわれているが、顔を確認しにいった魔物使いの情報では、顔が見つからず、特殊な生物という未だに生態系が謎の生物。
「結構人いるね」
この時期を逃すとかなり大変、というか無理だからな、そりゃ皆集まる。特に俺達のように適正レベルの魔物使いが多いか。彼らも情報収集目当てだろう。特殊な場所だから一度経験しておくといいしね。
「それじゃあここらをキャンプ地に」
縦に穴を掘る。ゴムのように固い。生物だから部位からするとここは皮になる、ある程度固いわけだ。まあ石を掘り出したりしている我々からすると難しい仕事ではない。
「よーし穴をほったぞ」
一部屋程度の穴を掘る。問題はここから、夜になると生物は海に入ってしまう。そのため水が入ってこないよう入口をしっかり封鎖する必要がある。入口は人一人入れる程度と狭く作ってある。扉をはめ込み完成、生物島の皮の家! 夜になり海に沈む島、よしよし水の侵入はないな。そこまで深くは潜らないから失敗しても大丈夫ではある。外で騒がしい音が聞こえる、浸水したかな。まあ皆飛べるし大丈夫だろう。朝になり浮上、朝食後活動開始。
「それじゃあ動くか」
外には草とも海藻とも言えない植物、見たことのない生物がうごめいている。こういう場所に来ると冒険してるって思えるね。破獣を倒しながら魔物の情報を得ていく。魔物の位置が調べた情報と結構違うな、周りにいる魔物使いから情報を聞きながらの探索になった。数日間島上で活動。徐々に部屋が狭くなるからその都度切り出す。生物だからね、生きているから修復される。
「さーて本番だ」
「ここから入るんだ」
今度は生物の内部に侵入する。中心に開いている穴の中に入っていく。中に入るにはタイミングがある。朝浮き上がって少しすると中心の穴が開く。その時に上に残った水分を中に入れていく、俺達はその水分と共に中へ。朝になり、生物島が浮上、扉を外して荷を持って穴に向かう。掘った穴は数日もすれば元通り、心配する必要はない。ジェットに乗り穴が空くのを待つ。他の魔物使いとぶつからないよう順番が自然とできあがっていた。そして穴が開く。
「いくぞ」
穴に吸い込まれるような水流ができて、順番に魔物使い達が島の中に引き込まれていった。洞窟内は暗い、光る石を照らしゆっくり落下しながら進んでいく。地面が見えてきた、衝突しないよう速度を落とし着地。
「わー、キレイ」
内部は壁や生物達が薄く発光していた。そのため明かりがなくても大丈夫そうだ。おっと、中央部から逃げなくては。壁際に移動、しばらくすると中央部がせり上がり水を排出。
「魔物を探そう」
この場所はかなり広いフロアになっている。魔物は全てこのフロア内にいるはず、くまなく探索するとしよう。探していると頭が大きいサメの魔物と出会う。
「メガトゥース、現実世界だとメガロドンと呼ばれる魔物だな」
交配することで戦技を強化できる事がわかる。彼を連れ帰ることにしよう。ビーストボックスを取り出し仲間にして中へ。この島にいる魔物はそんなにいないし全魔物分のビーストボックスを買ってあった。次回は一年後だからね、仲間にしたくなってもかなり待つことになる。少し高台になっていて水が侵入しない陸地がありそこに魔物使い達がキャンプを張っている。俺達もテントを張ってしばらくここで暮らす準備をする。火は使えないので食料は持ち込んできた保存食のみ。水はたまに上に上がって蒸留する必要がある。よし、魔物はコンプリートしたかな。
「そろそろ生物島が陸地に近づく頃かな」
「上がろう」
上に行き島から離れる準備。周りの魔物使い達も動き出す。陸地が見えてきた。空を飛び陸地の街へ。メガトゥースとオーバーファングを交配、メガファングが産まれた。メガトゥースを協会に渡し、ファングを連れ破獣と試しに戦ってみる。巨大な牙を複数発射、破獣を分断、瞬殺。大きな歯がすぐに歯が生えてくる。ファングの攻撃力が上がった。
「ゆっくり帰ろう」
ここからドンモルまでは遠い。ジェットで一気に帰ることは不可能。この場合は、ジェットを休ませながら、残りは陸路となる。
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