第20話 全体攻撃
破獣を退治し続け二人共レベル15に、魔物を七体仲間にできるようになった。拠点に帰り、エン達と一緒に晩ごはんを食べる。
「今変わった破獣退治があるんだ、一緒にいかないか」
雑魚の破獣が大量に現れるイベント、ゲームにもあったな。カエル型の破獣ホットコラプス、攻撃力、防御力が低くかなり弱い。経験値は少なく黒い石を取っている暇がないから金策にはならないと正直旨味は少ないが対多数の練習になるからやってみようか。一夜明け朝食後戦闘準備完了、エン達と合流し現場へ向かう。水辺の近くの場所、破獣達の大合唱が聞こえてくる。
「かなり臭う」
付近に悪臭が漂う、たくさんの魔物使いが破獣を討伐しているからだろう。現代の夏の用水路、車に轢かれ死んだ大量のかえるの死体が道に転がっている臭いと風景を思い出す。俺達も破獣に近づき戦闘開始。通常攻撃でも一撃で倒せる破獣、しかし膨大な数な上に次々と襲ってくる。凄まじい数だ、一匹一匹倒しているだけではとても間に合わない、戦技を使おう。
「転舞!」
頭上で槍を回転させ、その勢いで前方の敵を切り払う大技。目の前にいるホットコラプス達を一掃。
「ショックウェーブ!」
アリーが音波の魔法を放つ、多数の敵に有効。複数の破獣がしびれ波打つように吹き飛び即死、爽快な魔法だ。戦い続けMPが切れ、次第に処理が追いつかなくなりロックとペザンテが群れに飲み込まれこちらにも危害が及ぶ。
「いてっ、よーし退却だ」
撤退指示、この場から逃げ出す。思った以上に苦戦、凄まじい進軍を全くさばききれず短時間しか戦えなかった。原因は全体攻撃が戦技しかなくMP切れを起こしたから。通常攻撃に全体攻撃を持っている魔物が欲しいところ。協会に行きいい魔物がいないか探す。ちょっと距離があるが強くて仲間にできそうな魔物がいるな。勧誘しに行こう。
「アリーはどうする?」
「私も一体仲間にしようかな」
まずは俺が欲しい魔物のところへ。直接行かず、他魔物の情報を収集しながら向かう。そして目的の魔物と会う。
「いた、空飛ぶサメ、オーバーファング」
空中を泳いでいる見た目がサメの魔物。人類の敵になることが多い彼らだがこの世界では魔物として仲間になる。これほど心強い仲間はなかなかいない。更に水中戦はもちろん空中戦にも対応。サメはどこにでもいるのは今や世界の常識だ。特徴は命中とSP上昇と強力。いつものように個体を選び仲間に。
「よーしお前はファングだ!」
「ウォーン!」
次はアリーの番、彼女の要望は強力な魔物、ブラスドラゴン。そう、有名なあのドラゴン。ドラゴンと名のつく者はやはりこの世界でも強い。
「出会うのは難しいけどね」
「可能ではある」
彼らがいる場所の周りには強力な破獣が住んでいて低レベルの俺達では近づけない。本来ならまだ仲間にできないのだがこの魔物だけ抜け道がある。初心者救済と言われているが実際はなかなかの高難度ミッションとなる。仲間にするには強風が吹きすさぶ洞窟を踏破しないといけない。専用の装備が必要になる。重量のある金属で作った風よけを持ち運びながら洞窟を抜ける。風はずっと吹いているわけではない。風がやんでから移動、風よけを置き耐えるを繰り返す。鉄板の風よけを作り入口の風穴道へ。準備をして風がなくなったのを見計らって突っ込む。
「いくぞ!」
俺とシロで持ち上げ洞窟内を移動、前方で小石が跳ねる、風が来た、鉄板を置き飛ばされないよう防御態勢に。しかし想像以上の強風が吹く。鉄板の先が徐々に浮き上がり、ついには耐えられなくなる。
「うわー!!」
全員風に吹き飛ばされ転がりスタート地点に戻される。入り口付近はなだらかな坂になっているから吹き飛ばされても比較的安全だ。しかしこのままではもう一度挑戦してもまた吹き飛ばされるな。一旦拠点に戻り鉄板を縦ではなく斜めに改良、重量も増やす。もう一度挑戦、重量のあるロックも参加。風がなくなり移動、前方で砂が飛び散る、吹き出したな、風よけを置き伏せる。揺れる風よけ、しかし今回は持ち上がらない、そして風が収まった、今度は耐えることに成功。後はこれを繰り返すだけ。何度進んでは風よけをしただろう、ついに出口が見えてきた。こうして風穴道を抜ける。
「やったー!」
抜けた先はジャングルのように鬱蒼と茂っている森が広がっている。強い破獣の生息域に足を踏み入れないよう地図を確認しながら注意し進む。
「いた、ブラスドラゴン!」
空を自由に飛ぶドラゴンを発見、近くで見ると迫力があるな。金属の鱗に口元がラッパのようになっている特殊なドラゴン。サイズは小さめ、通常のファンタジーとは違い、成人男性くらいの大きさ。魔物は大きくても成人男性くらいの大きさまで。早速仲間に、アニマと名付ける。街に戻り一夜明け次の日、ホットコラプスに再挑戦。
「牙乱射!」
ファングの通常攻撃、牙のミサイルを魔物に発射。多数の破獣を貫き倒す。彼の歯はすぐに生えてくる。まんまサメだな。アニマは口から衝撃波を放つ。二体のお陰で囲まれることなくずっと狩りを続けられる。
「こんなところか」
頃合いを見て脱出。これで対多数にも備えられたな。
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