第19話 隕石加工

「水車を作ろう」


こちらも大掛かりな作業となる。まずは水路を作る。穴を掘り、水を引き込み流れを確認、封をして深さに注意しながらレンガの水路を作っていく。


「水路はできた、水車本体を」


魔銅インゴットを溶かして長い軸を作る。伐採して木材を加工、組み立て軸を中心にさし入れ水車の完成。雨が降ってもいいように簡易の小屋を建てる。水路を開放、水車が回りだした。動く水車を見て、へえ、水の力って結構あるんだなと感動。高さを調整して水車は完成。


「次は送風用」


回転軸にカムとなる棒、日本だとなで棒を取り付る。フイゴは前作ったものをそのまま使う。空気が抜けて降りたときに棒で持ち上げ空気をいれフイゴから送風される。これで自動送風装置の完成。


「いよいよ製鉄」


炉を製作、後は銅製造とほぼ同じ、違うのは三日三晩送風し続けるところ。風車がないとこれは大変。いや、二人では無理かな。


「そろそろいいかな」


送風をやめ炉を破壊し、金属を取り出す。ドロドロの解けた鉄が流れ出す、製鉄に成功した。今後は鉄製品を作れるようになった。魔銅もなかなかのものなので、鉄の製品に交換するのは老朽化してからでいいかな。斧とナイフだけ作っておこう。鍛造炉を作り鉄を加工しナイフを作る。日にかざすと光り輝く鉄のナイフ。破獣をさばく、流石の切れ味、ついに現代に追いついたかな。それ以上かも、研いでない包丁よりも切れる。は~、ここまで来るのは長かったな。


「さて本番の黄隕石の製鉄だ」


やり方は鉄と同じ。熱しているときは鉄と同じオレンジ色に発光しているが、冷めて固まってくると、鮮やかな黄色の金属に変化。弱点としては、直接金属を掴んだりすると感電するから持つところは木製など絶縁処理を施した工具が欲しい。取り扱い注意の金属だ。木の棒にとりつけようと思ったが敵が固くなっているからそのへんに落ちている木の棒ではすぐに潰れてしまいそうだ。調べて木の破獣から頑丈な木材がとれることがわかった。狩りに行き破獣を撃破、固い木材を手に入れる。柄に加工して感電に注意しながら先端に黄隕石の刃をつける。


「完成! 雷撃の槍!」


緑隕石も加工する。こちらも特殊で緑色の鮮やかな色の金属に変化。アリーの魔法の杖に装着、風力の杖を入手! 風の魔法の攻撃力が上がった。俺とアリーの攻撃力が一気に上がった。試しに破獣と戦ってみる、魔法を使う小型の悪魔の様な姿の破獣。コーラルナイトを前に出し魔法を盾で受けてもらう。その後に攻撃、槍を突き刺した後に電撃が走り強烈なダメージを与えた。もちろん戦技にも乗る。複数体を攻撃できる戦技があり全ての破獣に追加ダメージを与えられるため強力。


「魔法が強くなった」


風の魔法二種がそれぞれ強力に。しばらく武器は替えなくても良さそうだ。協会に黒い石を売り、資料室で付近にいる魔物の調査。


「種探しの魔物、シードシークが近くにいるな、仲間にしよう」


隕石探しと同じように古代種という種が空から降ってくる。人類が未踏の地から種を飛ばしているのだろうという説があるが、詳細は不明。いたいた、近づいて情報を入手と。彼らはプラスワンという変わった特徴を持っている。小さな魔物で場所を取らないため四体目として使役できる。戦闘能力はない。この能力のお陰で戦闘用魔物を出したままにしながら移動、種探しができる。交代が必要ないから非常に便利だ。いいな、ペンにもその能力があったら、いやまてよ、もしかして!


「ペンを小型化できるぞ!」


予想が的中、しかも種探しもついてくる便利な能力を持った魔物になることがわかった。仲間にして拠点に戻り交配する。ペンとは長い付き合いだ、転生することに。転生交配をするとペンがいなくなる。そして卵から小さな魔物が現れた。そして中身はペンだ、転生は成功。シードシークを協会に渡し、種探しをするためアリーの育った街へ。隕石があれだけ落ちていたから種も期待ができる。アリーには顔を出してきなと街へ送る。演奏会もしたいだろうし。


「やっぱりな!」


目論見通り事が運ぶ、古代種を見つけた。柔金の種、ゴムのように柔軟性があり金属のように固い特殊な植物の繊維が取れる。その繊維で編んだ服は鉄よりも高い防御力を誇る。大喜びの二人、近かったこともあり拠点に戻り栽培することに。古代種も野菜等と同じで環境を整える必要がある。クラフトから柔金の種を選ぶ。鉄に石に粘土か。他の植物とは一線を画しているな。鉄板を敷き、種を置いて石と粘土を乗せ固める。後は一ヶ月待つだけ。水撒きは業者に任せ、古代種探しの続きを。運がいいことに二つ目を見つける。今回は見たことがないような。いや、この種は。


「まじか!」


激レアの種、壱星の種を入手! 苛烈な環境のネットサバで入手ができる種だった。手に入れたことがなかった、どおりで見覚えがないはずだ。その能力は糸一本で星を釣り上げることが可能と言われているほど。流石に比喩ではあるがゲームではトップクラスの防具を作ることができた。残念なことがあるとすればまだ栽培できないことだな。加工のクラフト要求ポイントも高い、裁縫して服にもできない。作るのはしばらく先になりそうだ。その間は家宝として、それから周りには秘密にしておこう。拠点に帰ると柔金の種が収穫間近になっていた。このまま植えておいても種取りはできない。時期が来て収穫、繊維をほぐし糸、布、服と作っていく。こうして戦闘用の服が完成。見た目は普通の服だがゴムのように伸び頑丈。そしてなによりも!


「これで昆虫の鎧とはおさらばできる!」


うれしそうなアリー。見た目を気にしてたんだな。思春期の女の子だしね。

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