第10話 4人の価値

村に新しい商人が行商に来て6人の奴隷を連れていた。

その中の4人は日本人だった。


汚れた服、汚れた顔、汚い身なりだったけど直ぐに見て日本人だと思った。

6人全員が紐で繋がれていて6人で行動しないと動けないようにされていたから、奴隷なんじゃないかと思った。

異世界物であるような隷属の首輪とかは見られなかった。

腰で繋がれている紐は、丈夫そうなので引きちぎるの難しそうだから、6人全員で一緒に走って逃げないと脱走は難しそうだ。


男女関係なく繋がれてるしトイレとか、どうするんだろう?とか思ってた俺を見つけた、奴隷になってるだろう日本人と目があった。


『やぁ皆んな転移して来た日本人?』


虚な目をして疲れ切ってる人に、日本語で間抜けな第一声の声をかけた。


奴隷にされている日本人の女の子

「助けて下さい!!2ヶ月前に知らない土地に来て、直ぐに捕まって酷い目に遭わされているの!」


おおぉ、思ったより大きな声で日本語を喋ってきた。


『俺はこの村に滞在してるから、ちょっと待ってて商人とかと話してみる』


俺の返答を聞いて4人の日本人、男が1人、女3人がそれぞれ助けて!と大声を出して叫ぶ。

4人が叫び出してから1番偉そうな行商人が近付いて来て、聞いた事ない言語で怒って4人を柄に入ったままの剣で殴りつける。


『まてまて、止めて』


拙い俺の知ってる異世界語で止める。


偉そうな行商人

「なんだ? おまえ?」


ああぁちょっと嬉しい。

この人の言葉は全部を聞き取れなかったが、単語が俺の知っている異世界語だ。


それから1時間も、村の村長のババアを交えて、行商人と日本人4人を解放して貰う為に交渉をした。


結論を言うと、4人を解放するのに金貨が8枚必要らしい。

この世界の貨幣は色々とあるみたいだけど、レートは似ていて金貨はほぼ形や絵柄が違ってても同額で扱われる。


村は俺が沢山狩りをしているので、豊かになってはいる。

俺も村の村長ババアから報酬を貰ってて、旅の旅銭用に貯めている。


今、手元に銀貨が4枚ある。

銀貨が大体のレート、100枚で金貨1枚と同じ価値だ。


俺は2ヶ月働いて銀貨4枚貯めた。

金貨8枚とか俺が此処で30年以上働かないと、用意出来ないんだけど。


村長ババア

「タカ 4人 高い 買えない」


そんなこと分かってる、どうしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る