第6話 ゴブリン襲撃

愛想の無いババアの家に案内されて、部屋の椅子に座って炭酸ジュースを飲んで一息ついた。


ババアが炭酸ジュースを指差して何か言ってるけど、偉そうな口調に返事をする気も無くなっている。


俺を案内してくれたジジイの老兵士は部屋から出て行ってしまった。

門番に戻ったのかな?


代わりに俺を睨みつけている子供が、目の前で多分俺を監視してる。


ババアが机の上に本を出して来て俺に色々と話しかけてきた。


ババア

「※※※※※※※※※※」


次々と発せられるのは色々な言語での挨拶かな?何かを話してくるが全て分からないな。


次に弓の絵を俺に見せて「この絵が何か言え」と言ってるみたいだ。


俺は

『弓』

と何度も伝えるが伝わってるのかなぁ?


スマホをコンビニのバックヤードで充電させてたから、転移した時に持ってきてないのが辛い。

スマホさえあれば今の時間が分かったり、写真を見せて説明したり出来るんだけどな。


腕時計は元々してないから、今が何時か全く分からない。


ババアが本の中に書いてある色々な絵を見せて、俺が何か答えるという作業を何時間もしていた。


外にあるボットン便所に子供の監視付きで行ったら、太陽が地平線に隠れようと動いている夕方になっていた。

外が少しだけ暗くなってきていた。


他の転移者達は、俺よりも良い場所に転移してるのかなぁ。

美味しい物や、綺麗な女の子が沢山居る場所に転移してるのかなぁ。

俺がスキルの多い勇者だから、特別厳しい場所に転移した可能性が高いよなぁ。


数時間もの間、愛想の無いババアと絵の描いてある本でやりとりをしてたが、

突然カンカンカンと金属を激しく鳴らしたような大きな音が村中に響き渡る。


何かあったんだと思う。

ババアが俺を監視してた子供に何かを言って、家の外へ移動させる。

ババアは俺に付いて来いとジェスチャーで伝えてくる。

俺も素直にババアの後ろを付いて行く。


村の真ん中付近にある倉庫へ、皆んな入って行ってる。

中には食料や日用品が結構置いてあった。

扉に錠前が付いていたから、いつもは入口に鍵が掛かっているのかも。

倉庫に置いてあった袋をどかした場所に、地下階段が出現していた。


なるほど何かあって全員で地下に隠れて、やり過ごすのか。

女性と子供は集まっていたが、老兵士のジジイが居ないな。


ババアは意外にも俺に地下へ行けと合図する。

俺なんて放置すればいいのに、無愛想な顔に似合わず優しいと思った。


転移してまだ数時間しか経ってないしな。

外で何かあって隠れなくても、例え死んでも初期転移場所が近いんだ。

外へ見に行って、何が起こっているか知った方が死んだ次回に役立てるよな。


ババアに、ありがとうとジェスチャーして大声で呼び止められているのを無視して、村の入口の門へ向かう。


あああ、、村の入口近くには武器を持っている男達が何人か倒れていた。

門の見張り台の上から弓を持った男が外へ向けて矢を放っている。


門は開いていて、付近で緑色の小さい化け物と人間が戦っていた。

異世界なら恐らく緑色のあれはゴブリンだろうな、ゴブリンは50匹以上は居るかもしれない。


村を守っている男達は、立って戦っている人数は10人いないかも。


俺は筋力強化スキルを最大まで使うイメージで、近くの倒れている男が持っていた剣を拾いゴブリンが集団でいる方へ突っ込んで行った。

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