第5話 老兵士と村

異世界物であるような異世界人と会話が直ぐに出来ず、門番の老兵士に槍で太腿を刺された。


まぁ攻撃されても防ぐ自信があったから不用意に近づけたんだけど、老兵士の槍は俺の太腿を刺す事は出来なかった。

物理防御スキルの膜が、槍の穂先の刃物が当たってもズボンさえ貫通しないで防いでくれた。


ジジイは驚いた顔をして何度か俺の身体を刺してきて、最後は俺の顔を目掛けて槍を刺してきた。

流石にさ、これ刺されたら死ぬだろ!

刺されず顔にダメージも無かったが、ジジイが話を聞かない事にイラッとして、俺は手加減したパンチをジジイの腹に撃ち込む。


革製品の鎧を着けていたがジジイの内臓にダメージがあったようで、血を吐いてジジイが倒れ込む。

ええぇ、手加減したのに、これで倒れてしまうのか。


ジジイに近付いて回復魔法を使う。

数秒するとジジイの息が整って、こちらを怯えた表情で見ながら通じない言葉を連呼してきた。


助けてくれ?許してくれ?降参する?全く分からないな。

異世界で言葉が通じないと冒険するどころじゃないな。

言語スキル持っている日本人を探して一緒に行動しないとダメかも。

俺は英語とか全く喋れないし、言語スキルを喋られる人が日本人以外の転移者だったらキツいなぁ。


とりあえず町じゃ無いな、村という規模の壁に囲まれた村へ入って他の日本人を探す用意をさせて貰おう。


老兵士のジジイがへり下った態度で俺を案内してくる。

ジジイの態度は180度も変わったが、腹の中は殺意が籠ってそうだ。

多分だけど、村長みたいな人の所へ連れて行ってくれるのかな?


村の中は非常に貧しそうだった。

石を積み上げて土で補強した家が20件ほど並んでいるが、家から出てきた女性や子供は痩せ細って不健康に見える。

異世界だと美少女ばっかりだと思ったのに、女性は若い子も居たが、顔は中央アジアっぽい西洋と東洋が混ざった感じなのに俺好みの子は居なかった。

化粧したら可愛く見えるのかな?村の女性は誰も化粧をしていない。


少しだけ立派な家から皺くちゃのババアが出てきて、老兵士のジジイと会話をしてる。

気付けば俺は20人以上の女性と子供に囲まれている。

皆んな武器?としてか棍棒や長い棒を持って、俺を睨んでる人も居る。


ジジイは周りに話し掛けているが、攻撃しないように言ってくれてるのかな?


ババアが俺に家へ入れとジェスチャーする。

俺は笑顔で挨拶しながら家へ入る。

まぁ俺以外は誰も笑ってないけど。


水の入ったコップを出されたけど、毒とか入ってないよな?回復魔法が解毒も出来るのか不安だったので飲むのは止めた。


コンビニ店員の格好のまま転移した俺は、上着のポケットに入れていた炭酸ジュースを開けて飲む。


温くなった炭酸ジュースだけど、喉が渇いていたのか美味しく感じた。

最後の地球産の飲み物なんだよな、、、少しだけ日本が恋しくなった。

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