9-1

授業と騎士団の活動と生徒会福会長の仕事、それから生徒会長である第一王子がさぼっているからその肩代わり。

ヘリオスフィアは多忙を極めていた。

それでもヘリオスフィアからは疲労の色は見えず、毎日毎秒フレックを恋に落してくるから困ったもんだ。

しかもフレックへの気遣いは忘れるどころか増すばかり。

この間の馬乗りは楽しすぎたフレックは、ヘリオスフィアの愛馬にまで恋してしまった。

そしたらヘリオスフィアに、彼はもう妻帯してるからな?と言われ失恋したのだった。


そんなヘリオスフィアに自分は何が出来るのだろうか。

与えられた役目を粛々と、こなすこと以外で何かしてあげたい。

フレックは悩む前に兄に相談した。


「かくかくしかじかで、私が出来ることってなんでしょうか」


「あぁ…傍に居る、かな?」


「え、それはご迷惑でしかないのでは?」


色んなとこに一緒に出掛けているのは、フレックの中では慰労って形で腹に収まっている。

でも学園内での一緒の行動は、なるべくなら避けたい、否避けるべきだと思っていた。


「んーとな…フレックはロッカ卿に連れられて、旧生徒会室に行くだろ?」


「行きますな」


「…新校舎の生徒会室は聖女カッコカリが色んな令息侍らせて、いるんだよ」


「お、おお」


兄のどうしてやろうかあの生徒、という見開かれた両目力に、フレックはビビってしまった。


「んで、そこにロッカ卿を引き込もうとしてずっぱり切り捨てられてて」


実際見たやり取りのお陰で、フレックはその様子が容易に想像出来た。

そして、あんなに冷えた対応をとられたのに、とられているのに、まだヘリオスフィアにアタック出来る聖女の、強き心臓にフレックは脱帽した。


「んでぇ、その態度が気に食わない第一王子殿下とその一派がロッカ卿と険悪な仲になってて、かなり問題になってんだよ」


「な、なるほど…新校舎ではそんなことが…」


フレックはもうずっとヘリオスフィアに連れられて、旧校舎に通っていた。

だから綺麗な新校舎、いつか行けたらいいなーなんて思っていた自分はなんて楽観的だったんだろか。


一応たまに稀にフレックは自分の楽観的な部分を反省する時がある。

今回はそのたまに稀にが脳内で起こった。

起こった上で、それこそ新校舎に一緒にヘリオスフィアと行くべきではないな、とフレックは思ったのだった。


「え、で、傍に居た方がいいでしたっけ?」


「うん、それが一番。いいから、それ以外あんま考えんな」


「?わかりました…」


フレックは矛盾に眉根を寄せてから、自分より遥かに優秀な兄がそう言ってるのだからそうしよって、納得したのだった。

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