2-9
あっという間に12歳になってしまい、まだ婚約破棄に至れずフレックは焦った。
未来溢れるヘリオスフィアの楽しい学園生活を邪魔したく無かった。
来年、共に入学したらそれこそご破算だ。
このままでは駄目だ。
どうしたものかと、フレックは必死に文官に成れるよう勉強しつつ考えた。
文官として少しは働けるだろう知識は得れた。
特異体質故に魔力感知は良い方だが、魔法の才能はやっぱり無い。
体格にも恵まれず、戦うには心許無い。
得意なことは何も無い。
それでも文官としての勉強を続けたのは、東部魔境戦線へ追放される未来しか自分には無いと分かっているからだ。
フレックはそこを終の住処にするつもりだった。
だから如何にして早急に婚約破棄、からの東部魔境戦線へ追放して貰うか。
そればかりを目標にし続けた。
目が合うと優しく微笑む大好きなひとを不幸にしたく無かった。
そこでフレックは子供でも出入りできる遊び場に通うことにした。
そこで不特定多数の同世代の少年少女と交流する。
危険な、本当に危険なことはしたく無いので、なるべく深く仲良くなることはせず、肩を組む程度の行為を繰り返した。
子供が出来る最大限の悪い遊びにも手を出した。
糞屑の不良に、成ろうとした。
家族にも何度も注意された。
ヘリオスフィアにも。
その度にもう二度としませんって、言い掛けて飲み込んで。
遊び惚けた。
虚しかった。
楽しくなかった。
馬鹿の振りしてお小遣いを遊び場に継ぎ込んだ。
自分が居ない間の魔力暴走が制御不能に陥らない策は出来ていた。
ある日遊び場で景品に無属性の魔石を見つけたフレックは、自分の特異体質が他者にも一時的に付与出来る点に着目した。
無属性の魔石なら特性を付与出来るのでは?と。
そしてその試みは成功した。
必死になって無属性の魔石へ魔力を流し込んだ結果、魔力吸収の特性を定着させることに成功したのだ。
フレックはこれでなんの憂いもなくなると歓喜した。
それからフレックは、景品で得た無属性の魔石を遊び場から名無しでヘリオスフィアへ送り続けた。
遊び場だからそういう遊びも赦されていた。
最初は処分されるだろう。
でも何度も贈れば、不思議に思い中身を確かめるに違いない。
そうして鑑定されてヘリオスフィアの手元へ。
フレックは
しあわせを
フレックはヘリオスフィアの好意が無限で無償だと勘違いしているよに
だってヘリオスフィアの
我が子を抱く
あの笑顔を
あたえることはいくらフレックが愛しても
だから
好きだから
優秀なヘリオスフィアに栄光を
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