あとがき

「義烈空挺隊」

 自分たちの生命を懸けて日本を守ろうとした彼らのことを知ってほしい。そしていつまでも覚えておいてほしいとの想いで小説(もどき)を書き始めた。

 ネットでは「特攻の生き残りは〇ねばいい」「〇刑にするべきだ」などという勘違いしている人がいる。自爆テロと特攻は全然違う。自爆テロは無差別に闇雲に〇人をおかす〇人集団である。特攻は愛する人がいて、守るべき人がいて、日本を心から愛し、守ろうとして、自分の生命を犠牲にして敵の戦艦に体当たりすることをいう。


 先日テレビで「よど号事件」の特集があり、犯人が特攻隊の生き残りだというだけで勝手に全く無関係の「義烈空挺隊」の写真が使用され地団駄を踏む想いであった。「義烈空挺隊」は奥山道郎隊長の指導のもと、礼儀正しく統率の取れたすばらしい部隊である。


 数年前、「義烈空挺隊」のことを知り、奥山隊長の写真を見た時から私の心は鷲掴みにされ、奥山隊長への憧憬でいっぱいになってしまった。「ちょっぴり太めの丸眼鏡」なのに。


 しかし小説を書こうにも何も参考資料もなく、東京神田の古本屋の戦争関係専門店まで足を伸ばしても本の題名もわからず、ほとんど門前払い状態。かろうじて、どうにかこうにか、本の題名がわかったとき、その本は絶版であり全国の公立図書館で蔵書があるのは半数以下。地元の図書館にもなく、哀しかったのは「義烈空挺隊」の戦場となった沖縄の公立図書館にさえ、蔵書がなかったこと。(あわてて調べていたので間違っていたらごめんなさい)「義烈空挺隊」が生命を賭けて守ろうとした沖縄。沖縄の人にこそ「義烈空挺隊」のことを知ってほしい。できれば復刊してほしいと心の底から祈っている。


 そして仕方がないので、全くの空想、全くの手さぐりでとりあえず書き始めた。想いは二つ。

「奥山隊長を死なせないこと」

「奥山隊長が生きていたら幸せな一生を過ごしていただろうこと」


 かなり無理難題、話をねじまげ、ひっぱったり、はしょったり。

「日本人の一人でも多くの人に『義烈空挺隊』のことを知ってほしい。『日本を守れる私は幸福者です』と笑って死んでいった人たちのことを知ってほしい」


 その後ようやく奇跡的に私の探し求めていた本を手に入れることができ、最初の草稿の矛盾が次々とあらわになり、書き直しが余儀なくされ、登場人物も出たり、入ったり、登場回数をふやしたり。無事に着陸できるか不安なまま胴体着陸か、パラシュートで強行着陸してしまった。いつしか、私のイメージの中では奥山隊長は二枚目俳優のあの人、諏訪部隊長は私の大好きなさわやかなイケメンのあの人と勝手に妄想が飛び交っていた。

 本当はもっと有名な小説家の人が書いてほしい。奥山大佐の親戚や部下の人や関係者の人に叱られるかもしれないと思いつつ、書かずにはいられませんでした。お許しください。でも奥山大佐の人柄を知れば知るほど好きにならずにはいられませんでした。

 願わくば、「義裂空挺隊」の書物が多数発行されること、絶版になってしまった「義烈空挺隊」の書物が復刊されること、それから読谷村の義烈空挺隊玉砕の地碑、糸満市の義烈空挺隊慰霊塔を新しく頑丈なものにしてほしい。お願いします。


 こんな稚拙な文章で素人の手なぐさみの小説もどきで、きっと奥山大佐はあの世であきれていることと思います。それでも「千両役者は辛いなあ」と言ってやさしいまなざしで見守ってくれていたら幸せです。

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