悠久の時の彼方に愛を込めて 義烈空挺隊に恋をして

館華カオル

はじめに

 その日も金峰山の西の空の彼方にあかね雲が棚引いていたという。


 一九四五年五月二四日一八時、義烈空挺隊は沖縄決戦へ出発した。飛行機の窓の外に見えるあかね雲に彼らの胸中はいかんばかりであったろうか。


 大空をこよなく愛した義烈空挺隊の勇士は、ほとんどが二十代の若者であった。


 アメリカ軍に占領された沖縄を奪還し、沖縄の人を守る、ただそれだけのために、過酷な訓練に明け暮れ、自分たちの身を犠牲にし、生命さえもいとわずに、特攻のための特攻に散った「義烈空挺隊」の名前をあなたは知っているだろうか。


 日本が物資不足であったことはよく言われることである。だが終戦間際、戦闘機の部品や燃料タンクが木製であったこと、アメリカ軍との戦闘機の性能の差が違いすぎて、敵機の高度まで上昇して攻撃することができなかったことは知っているだろうか。


 アメリカ軍は被弾し、帰れなくなったときは海上に不時着させ、搭乗員を潜水艦で収容している。それに引きかえ、日本は戦闘機から装甲板も銃砲も外し、体当りで行く。そればかりか帰ることを一切考えない。片道攻撃であった。


 戦争は決して美化してはいけない。だが純粋に日本を守るためにその使命のために戦争で散って行った勇士たちのことは決して忘れてはいけないと思う。

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