第2話
それから顔を作ります。
目はどんぐりで。
鼻は小さな枝で。
口には松ぼっくりをつけました。
「これでよしっと。」
不思議な顔をした雪だるまが完成しました。
さて、いよいよ最後の仕上げです。
帽子の代わりに、コン太は大切にしていたひいらぎの葉っぱを雪だるまの頭にのせました。
「わぁい、できた、できた」
コン太はうれしくなって、くるくると円を描きながら、ぴょんぴょん跳びはねます。
その時です。
雪だるまからポンっと弾けるような大きな音がしました。
コン太は、びっくりして雪だるまを見ました。
気のせいでしょうか。
雪だるまが、さっきより少し大きくなった気がします。よく見ると、雪だるまには手と足がありました。
「あれ、おかしいな。僕、こんなの作ったかなぁ?」
コン太がそっと近づくと、雪だるまはぴょこんと頭を下げました。
「君が僕を作ってくれたんだね。ありがとう」
雪だるまがしゃべったことに驚いて、コン太はぴょこんと飛び上がりました。それを見て、雪だるまは笑い出しました。
つられてコン太も笑いました。
「君、動けるの?」
「そうみたい。僕、こんな風に動けたの、初めてだよ。でも、どうしてだろう」
「どうしてだろう」
雪だるまにわからないことが、コン太にわかるはずがありません。でも、雪だるまはそんなことは気にならないようです。
「嬉しいな、ったら、嬉しいな」
雪だるまは大はしゃぎで、森の中を行進し始めました。
「嬉しいな、ったら、嬉しいな」
コン太もまねをしてみました。楽しくなったコン太は、雪だるまについていきます。
「よし、かけっこしよう。いくよ。よーい、どん」
コン太が駆けだすと、雪だるまもまねをします。
ゆるい坂道で雪だるまはころりと転んでしまいました。そのまま雪の上をころころ、ころころ転がりっていきます。転がるうちに雪だるまはどんどん太っちょになっていきました。
コン太は大笑いしました。
雪だるまも大きくなった自分のおなかをかかえて、笑いだしました。
「くしゅん」
大きなくしゃみを一つ。
コン太は、体をブルルとふるわせました。雪でぬれたコン太の体はすっかり冷たくなっています。
「なんだか、寒くなっちゃったね」
雪だるまはしばらく考えて、ぱちんと手を叩きました。
「そうだ、いいこと思いついた」
雪だるまはコン太の前足をそっとにぎって、ドンと足を鳴らしました。
すると、どうでしょう。
コン太の体は宙に浮いて、ものすごいいきおいで、上へ上へと登っていきます。
コン太は怖くなって、ギュッと固く目を閉じました。
空を飛んでいるうちにすっかり体はかわいていました。
「目を開けてごらんよ」
雪だるまに言われて、コン太はそっと目を開けました。
そこは、やわらかな雲の上でした。
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