第24話
試合は残り数分となった。
海斗はボールを受け取り、ゴールに向かって突進した。
観客席からは応援の声が一層大きくなり、私は全力で声を張り上げた。
「海斗、頑張れー!」
心臓がドキドキと高鳴り、手に汗がにじむ。
彼の一挙手一投足に目が離せない。
周りの観客も同じように息を呑んで見守っているのが感じられた。
海斗はディフェンダーをかわし、ゴール前に迫った。
そして、力強いシュートを放ち、ボールはゴールネットを揺らした。
「ゴール!!」
歓声が一斉に上がり、私は思わず飛び上がった。
喜びと安堵が一気に押し寄せ、涙がこぼれそうになった。
試合は引き分けに持ち込まれ、延長戦に突入した。
両チームの緊張感が一層高まった。
観客席からは応援の声が絶えず響き渡り、私は心の中で海斗を応援し続けた。
手が震え、息が詰まるような感覚に襲われたが、それでも目を離さなかった。
結果がどうなろうと、海斗の頑張りをこの目で見届けたかった。
延長戦の残り時間も少なくなり、海斗は再びボールを手にした。
海斗…っ!
海斗の動きを見守りながら、私は祈るように手を握りしめた。
心臓がドキドキと高鳴り、全身が緊張で固まった。
海斗はディフェンダーを巧みにかわし、ゴール前に迫った。
そして、冷静にボールを蹴り込んだ。
ボールは見事にゴールに吸い込まれ、逆転勝利を収めた。
その瞬間、試合終了のホイッスルが鳴り響き、チームメイトたちは歓喜の声を上げた。
観客席からも大きな歓声が沸き起こった。
「勝っ、た…?勝った!勝った!!」
「海斗ー!かっこいいぞー!」
私は胸がいっぱいになり、涙がこぼれそうになった。海斗の努力が実ったことが、自分の事のように嬉しかった。
彼の頑張りを見てきたからこそ、この瞬間がどれだけ特別なのか分かっていた。
海斗はフィールドの中央で一瞬立ち止まり、周りの歓声を聞きながら深呼吸をした。
そして、視線を上げて観客席を見渡し、私と目が合った瞬間、海斗の顔に大きな笑顔が広がった。
その笑顔は、試合中の緊張感や疲れを一瞬で吹き飛ばすような、心からの喜びに満ちていた。
私も自然と笑顔になった。
そして、海斗はそのまま私の方に向かって駆け出した。
私はその姿を見て、心臓がさらに高鳴った。
海斗が私の前に到着すると、彼は一瞬立ち止まり、私の目を見つめた。
「海斗、おめでとう!すごか…っ、」
彼は何も言わずに私の腕を引っ張り、力強く抱き締めた。
驚きと喜びが入り混じった感情に包まれ、彼の温もりと力強さを感じながら、心臓がドキドキと高鳴った。
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