第10話


「…今日用事ある?」

「ないけど」


なんでそんなこと聞いてくるわけ?

あ、もしかして用事あるから先に帰れとか?


部活終わるまで待たないでいいんだ。

ラッキー



「じゃあちょっと付き合え」


は?これは予想外


「付き合うってどこに」


「あー、結婚祝いのプレゼント買いに」


保健室の先生にか。


「部活は?」


部活が終わってからなら夜遅くになるはず。

部活も待って


「今日部活ないから」


ならいいか…

ん?


「いやいや、なんで私が、」


付き合うふりをするだけが私の役割なのに、放課後も会うなんて、そんなのオプションになかった。


「暇だろ」


何それ。

友達いないやつはみんな暇って決まってないから。


まぁ、私は暇なんですけど。


「暇だけど、あんたといる時間は一秒もない」


「ふーん。あの絵バラされてもいいんだ?」


「…性格悪」


こいつだけは絶対好きにならない。



_____




「…いつまでそうしてんだよ」


「何が」


横に並びたくなかったから、わざと一歩後ろに下がって歩いた。


「なんで離れて歩いてんだよ。変に思われるだろ」


知らねぇよ。

こんな強引に付き合わされて、怒らないわけないでしょ。


「付き合えって言われたから仕方なく来てあげてるのに、文句が多いんですね」


「お前の意見聞くために連れてきたのに。それじゃあ意味ないじゃねぇかよ」


「アドバイスはしてあげるわよ」


アドバイスするなんて言ったけど、私べつにセンス良くないんだが、


「どんなのがいいんだよ」


「よく考えてみたら、保健室の先生と仲良くないから何がいいか分かんない」


好きな色でも聞いてくれば良かった。


雰囲気的にピンクかなとは思うけど、白かもしれないし、茶色かもしれない。


「じゃあお前は?」

「え?」


私…?


「お前はどんなのが欲しいんだって聞いてんだよ」


「私?私なら好きな人に貰えるならなんでも嬉しいけど…」


どうしてそんなこと聞くんだろう。

もしかして…


女ならみんな同じものを好きだと思ってるのか?


「全く参考にならないな」


なんだこいつ。


「世間一般の女の人ならネックレスとかがいいんじゃない?」


「いや、結婚祝いなんだから、そんなもん貰っても困るだろ」


知らねぇよ。せっかく答えてやったっていうのに。


「えー、じゃあ」

「もっと活用的な方が嬉しいだろ」


「それならお揃いの食器とかが王道なんじゃない?」


「ふーん」


ふーんて何よ。アドバイスしてあげたのに。


「あ、ここの店とかどう?可愛いの沢山あるよ」


これ可愛い…寒い日にホットミルクとかココアとか、これに入れて飲んだら絶対美味しい。


金欠だし、お小遣い貯めてから買うか。


「いいの見つけたのか?」

「あ、ええっと、このお皿とか…」


危ない危ない。

自分のを見に来たわけじゃないのについ。

使えないな。なんて嫌味言われるところだった。


「これ…?」

「…」


適当に指さしたけど、


可愛いものがある中で、よりによってなんでこれなのよ…


流行りに疎い私でも分かる。これはない。


「なんというか、個性的だな」

「…」


そんな哀れみの目で見ないでよ。それならまだ使えないって罵られた方が良かった。


「…あ、」


私とは違って海斗のセンスはいいみたい。可愛いお皿を購入し無事に事なきを得た。


「付き合わせたし、飯でも奢る」

「え、いいの?」


もうこのまま解散かと思ったけど、以外に優しいとこあるじゃん


「一生文句言われそうだから」




…前言撤回

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