第6話
「あんたが雫?」
「そうですが…」
「ちょっと着いてきて」
そう言われ、人気のない所に連れてこられた。
これはまさか…少女漫画でよくあるシチュエーション?海斗と別れろ的な…!?
そりゃ、私だってそうしたいのは山々なんですけど、なんせ弱みを握られてまして…
「痛っ!」
なんて、呑気に考えてたけど、まさか殴られるとは思ってもいなかった。
いや、普通さ、殴られる前に誰かしろ助けに来るもんなんだけど。
あいつ、どこで何してんの?
「あんた海斗君と付き合ってるんでしょ」
「そうですが」
「それなのに翔にも手出そうとしてる訳!?」
翔…って、
「翔君…?」
頭の整理が追いつかない。
海斗狙いかと思ってたのに、まさかの翔君?
「この前、翔とあんたが歩いてるところ見たんだから!」
そんなぁ、一緒に歩くぐらいさせてくださいよ。あ、もしかして…
「翔君の彼女ですか?」
「さっきから翔君翔君って…何?仲良しアピール?」
「いや、そんなつもりは…」
この人はどんだけひねくれてんだよ。
名前呼んでるだけなんですけど?
「付き合ってないけど何!?何か文句でもあるの!?」
付き合ってないんかい。
確かに、翔君がこんな人好きになるわけないか。
「別に文句はないですけど、彼女でもないのにそうやって翔君の行動を制限する権利ってあるんですか?」
そう言うのって彼女の特権だったりしない?まともに付き合ったことないから分からないけど…
「は、呆れるんだけど。彼女がいない相手なら、自分に彼氏がいてもイチャイチャしてもいいって事?あんたってそんなに男好きだったんだね」
イチャイチャって私は別に何も…
しかも、男好きって言葉も聞き捨てならない。
私は男好きなんじゃなくて、翔君が好きなだけだ。
こんな一途な子のどこが男好きなんだよ。
「イチャイチャしたつもりはありません。ただ、一緒に帰ったというか、用事があるからって先に帰られましたし。一瞬一緒にいただけです。それをあなたが勘違いしただけでは?」
「何…?私が悪いって言いたいの!?」
「はい」
あ、はいって…素直に言っちゃった。
この人絶対怒るじゃん。
「何ですって!?」
ほら…私のバカ。いや、でも、どうせ殴られて罵声浴びせられるぐらいなら、私も言いたいこと言わせてもらおう。
「そもそもこんなとこに呼び出して、影でコソコソ気に入らない人を殴ってるようでは、一生翔君に好かれないと思いますけど」
こんな人に譲るぐらいなら、絵のこと本人にバレるほうがマシ。
「さっきから聞いてたら…男好きの分際で私に説教しないで!」
「っ、」
殴られる…!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます