第4話

「ちょっと人の彼女に何やってんの」


げっ、出た…


「海斗、」


恋人なのに君呼びは他人行儀だからという理由で普通に名前で呼び合うことになったものの、名前呼びはまだ慣れない。


「ちょっと!お兄様に向かってその態度は何?」


「それより質問に答えて。どうして雫に触れてるの」


「雫ちゃんが可愛かったから。ただそれだけだよ」


可愛い…?私が?

お世辞でも、可愛いなんて言われたら誰でも喜ぶに決まってる。好きな人に言われたんだから尚更。

しかも…なんと、本日二回目の可愛い頂きました。


「喜ぶな」

「…ごめんなさい」


好きな人に可愛いなんて言われたら嬉しいに決まってんだろ!?


「ちょっとちょっと!女の子にその言葉遣いはないんじゃないの!?彼女なんだからもっと大事にしなさい!」


翔先輩と付き合ったら、きっとそれはそれは大事にしてくれるんだろうな…って想像しちゃった。

ありえないことなのに、、


「心配してくれるのは有難いけど、ちょっとのことで別れたりするような関係じゃないから。ね、雫」


つまり、俺が冷たくしたぐらいで契約破棄にしないだろ。だって、お前は俺に弱みを握られてるんだからな!って事ですよね


「そうだね。ははは、」


「虐められたらいつでも相談してくれていいからね!?」

「ありがとうございます」


なんなら今すぐにでもお願いします。


「二人きりで会うなんて俺、許さないからね」


なんだって!?おい、何様だよ!彼氏にでもなったつもりか!?あ、いや、彼氏か。表面上は彼氏だった。やってらんねぇよ!


「そうならない様に雫ちゃんをもっと大切にしなさい」


「してるって」

ど、どこら辺がですか?


「誰かに奪われてからじゃ遅いからね。じゃ、またね〜」


「あ、また…」


行ってしまった…というか、またって言いましたか!?またがあってもいいんですか!?


「おい」

「何よ」


「デレデレしすぎ。翔好きなのバレバレだから」

は?好きなんだから仕方ないでしょ?


「だったら何よ」


「抑えろって言ってんの。他の奴に怪しまれたらどうすんだよ」


「それは…」

まぁ、そうですけど。言い方ってものがあるだろうよ。抑えろってなんだよ抑えろって。


そんなこと言われてすんなりできるなら、私だって苦労してないんだよ!


「それが無理なら翔には会うな」

「それは…!」


あ、嫌すぎて大声出た。


「何、」

「顔に出ないように気をつけるから、翔先輩には会う」


会える時に会いたい。拝みたい。じゃないとこんな奴と付き合ってられない。私にも楽しみが欲しい。



「あっそ。勝手にすれば」

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