第2話
「…はい?」
またその話…
「正直ウザイんだよね〜。勝手にキャーキャー騒いで。俺のこと何も知らないくせに、顔目当てで告ってくる女。告白するためにいちいち人気のない場所に呼び出されるけど、時間の無駄でしかない」
そうか、イケメンはそういう悩みがあるのか。
「そんな…顔だけじゃなくてありのままのあなたを好きな人だってきっといるはずなのに、」
「あー、そういうのどうでもいいから。興味無い。いたとしても俺は…」
「俺は…?」
顔だけじゃなくて性格も全部まとめて好きだと言ってくれる人が現れたとしても、どうせ自分の気に入る人としか付き合わないくせに。
「とりあえず時間の無駄なの。どうせ振るんだから」
そんなこと言うぐらいなら、
「着いていかなければいいじゃない」
「行かなかったら行かなかったで文句言う女も出てくるんだよ。毎日毎日…俺の身にもなれよって感じ。ほんとに好きなら告白なんてしくんな、面倒臭い。でもお前を彼女にしたらお前を理由に断れるだろ。時短だよ」
時短…
まさかこんな人だったなんて。
「どうして私を彼女にしようとするんですか?」
私じゃなくたっていいじゃない。
「だってあんたが好きなのは翔でしょ?それに、俺のこと嫌ってるみたいだし」
「別に嫌ってなんか…」
嫌いでも好きでもない。そもそも興味無い。
いや、むしろ今ので嫌いになった。
「あんた、顔に出やすいって言われたことない?」
さっきから気になってたんだけど、
「私の名前は雫です。あんたじゃない」
「あー、はいはい。雫ね。分かった分かった」
適当…
「それに、さっきから翔、翔って何なんですか?先輩なんだからせめて先輩って呼んだらどうです?」
「ふーん。いや、いいんだよ。俺は翔と仲良いから」
ふーんって何だよ。
「で?俺の彼女になるの?ならないの?」
「私があなたの頼みを断ったらどうなりますか」
「どうなるも何もこれ見せるしかないよね」
なんて言いながらスケッチブックをひらひらさせてくる。
「…」
一発殴らせてくれ。
「翔はどう思うだろう…自分の知らないところで、観察されて、それをスケッチブックに描かれて…それもこんなに沢山。引かれるだけならいいけど、嫌われる可能性だってあるからね?」
つまり脅しってことか。
確かに、話した事ないのに嫌われるのは困る。
こんな奴の言うことを聞くのは腑に落ちないけど仕方ない。
「分かりました。引き受けます」
「良かった」
今更、そんな嘘くさい笑顔見せないで。
もう何も信用出来ない。
「あー、あと偽の彼女なんだから本気で惚れたりするなよ。そーゆーの面倒臭いから。そうなった時は即終了だからね」
はぁ!?さっきからなんなのその態度!?
なんて言葉は喉まで出てるんだけどこれ以上面倒は起こしたくないから我慢した。
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