第6話

 すっかり雪も溶けて温かくなってきた春。2歳になり歩けるようになった俺は体内で魔力循環をしながら家を歩くのが日課になった。

 ギリギリドアノブを引っ張れるようになったので部屋にも一人で入れるし、一階にだっていける。ただ二階にはまだ自力で登れない。

 それに鍵がかかっている部屋もあるのでこの家の全てをみたわけではないのだ。今の俺の目標は全部屋クリアすることだ。

 しかし、属性魔法は今や、両手両足20個どころじゃないぐらいで同時発動ができるようになった。そして、魔法について新たな発見があった。


 1つ目は魔法をとどめたまま、待つと自身の魔力が減っていくこと。さらに魔力が吸われるほど威力が高まっていくこと。


 2つ目は魔力を纏えること。これは俺の中の魔力をどこまで放出できるかやってみたら体と服に纏ったようにピタッとくっついていて、この状態を保つだけで魔力が減っていくのだ。


 3つ目は2つ目の逆に魔力を取り込んでわかったことだ。急激に、そして大量の魔力を取り込むと魔力切れの気絶とまではいかないが相当気分が悪くなること。


 俺は魔力循環と1つ目、2つ目の法則を使い順調に魔力量を増やしている。が、暇すぎる。日常がつまらない。異世界系でこの期間をとばす理由がわかった。

 家の探索はやったし、外出は親とメイドによって止められるし、魔法関連があると思われる部屋は鍵がかかってるし、正直言って、食べる物と魔力量以外での変化がないのだ。


 しか〜し、そんな日常も今日で終わりだ。なぜかって?鍵がかかっていて閉ざされていた部屋が開いていたのだ。こんな機会は滅多にないぞ。しかし、ここで焦って動いては駄目だ、こういう時こそ慎重に音を立てずに

「ソウちゃんもお勉強する?」

 ヒャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 シャベッタアアアアアアアアアアアアアアアア


「じゃあお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に勉強しましょうね。」

 話しかけたのは母さんだった。マジでびっくりした。今心臓が浮いた。

「リーシャ、ソウも…内容はわからないと思うけど教えてあげて」

 どうやら兄さんと姉さんがメイドのリーシャに何かを教えてもらっているらしい。

 「貴族の子供は8歳で披露会をします。そしてその際に子供の将来を決めつける親もいます。」

貴族っぽくていやな世界だな。ホント。

「皆さんがそんな差別をしないのはわかっています。しかし、差別をされる可能性はあるのです。その時にそれを正す力を持っておいた方がいい。なので勉強をしてもらいます。」

 なるほど。唐突な貴族の闇の紹介は勉強する意義を知ってほしいのと自分から勉強をする意欲を引き出すためか。でも、こんな難しい説明で子供にわかるもんか?

「じゃあじゃあ勉強したらそれを直せるの?なんで?!」

 あ、伝わってた。姉さんナメてました。以外と姉さんって頭良いんだな。

「何故かを知らないから学ぶのです。そして、知識を分け合える関係をつくるのです。」

 そこから、2人はメイドのリーシャや母さんの(やっと名前がわかった)クリスに勉強を教えて貰うらしい。俺もこの世界の勉強のレベルは気になるのでその部屋に一緒にいることにした。しばらく一緒に授業を受けていたら平仮名しか使われていない絵本を渡された。そっか、俺はまだ喋れないし、読めないのか。



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