第5話
首が座り、はいはいもできるようになった俺は初めて外の世界へと旅立った(ベビーベッドの外のこと)。
母親が俺を背中に背負いながら家の中を歩く。どうやら俺の部屋は玄関から奥の二階の部屋だったらしい。そして、母親は玄関のドアを開く。
そこには降り積もった雪があった。
「ソウ、これは雪といってとても冷たくて触ると溶けてしまうの。冬になると降ってくる冬の風物詩かしら。」
へぇ~この世界にも季節があって雪があるんだな。まぁ確かに最近寒かったし、雪もいたって普通の色と感触だ。おかしいところはないな。
というかしっかりと顔を見るのは初めてじゃないか、兄弟達よ。そう、俺には双子の兄と姉がいるのだ。何歳差かはわからないが多分3,4差だと思う。
兄の方が金髪に紅眼で名前がステラドーラ・アーデルハイトだ。
姉の方が青髪で翠眼で名前がジュリーナ・アーデルハイトだ。
名前は母親が呼んでいるからわかるが本当にうちは美形だな。モデルもびっくりな顔とスタイルだ。
そして、これで俺が生まれた季節がわかった。赤ちゃんは、はいはいするまで1年ぐらいかかるはずだ、しかし俺が生まれたときは別に寒くなかった。つまり冬にはいはいができるようになった俺は春生まれなのだ。わかったことろでなにもかわらないけどな。
俺は1歳の誕生日を迎えた。この世界にも誕生日の概念はあるみたいだ。ハッピーバースデー、俺。ありがとう、俺。
そして俺は魔力感知(体外)と魔力操作(体外)を習得した。魔力感知(体外)のイメージとしてはゲームのマップや船の探知機なんかがわかりやすかったが問題は魔力操作の方だ。呼吸みたいなイメージで体外にあること自体はわかるのだが、それを自分の思い通りに動かすイメージが沸かなかった。結局は空気中の魔力も操れるものだと考えればすぐに操作できたが。
1歳になって魔力感知と魔力操作も習得したことだし、やってみますか、魔法!
ただ残念なことに俺はまだ、はいはいしかできないので部屋からでることができないし、ドアが開いていても入りたい部屋はドアを開けないと入りれないのだ。つまり、よく覚醒シーンにある魔力量を測る水晶玉や、魔法のやり方が書いてある魔導書のような補助はなしでやらなければならない。
まずは、初めての魔法はウォーターボール・アクアボールと呼ばれるものだ。なぜ初めての魔法がファイヤーボールやウィンドボール、アースボールではないのかというと失敗して、暴走したときに被害が1番少なさそうだからだ。これなら暴走して巨体化しても部屋が濡れるだけですむ。ということで、Let's try!!
魔力を指先に集中させ、その魔力がとどまるようにイメージし、その魔力が水球になるように魔力を球状に形作る。失敗していないので断言はできないが、この時重要なのは球状の魔力に偏りができないようにすることだ。多分、一瞬でも魔力が偏ったりしたらその時点で魔力の維持ができなくなる。異世界系はすぐに魔法が使えたり、一発目から成功するけど、現実はそう上手くはいかないようだ。そんなことを考えているうちに魔力が球状に安定してきた。次はこの魔力を水にする。
魔力が魔法(この場合は水)になるのはイメージするまでもない。大抵どんな異世界ものにも魔法はあるのだ。その分魔法に対するイメージも明確なものになっている。
成功だ。小さい水球が俺の指先にとどまりながらグルグルと渦巻いている。この一発で魔力はどれぐらい減ったんだろう?ステータスオープン
こういうのは基本の4属性である火、水、風、土は消費する魔力量は同じだから4属性もボール系は同じくらい減るんだろう。あれ?これはどうやったらなくなるんだ?このまま部屋にぶっ放す訳にもいかないぞ。なんて考えていたら集中が切れたからだろう、魔力になって霧散していた。
よし、次はファイヤーボールだ。魔力を球状にして火にしてみる。全然熱くないな。自分でつくったからか?いや、まだ指先にあるからかもしれない。なら、指先から離しあっっっつつつつ
うん、身を持って知った。魔法はイメージだ。熱いものだと思えば熱いし、熱くないと思えば熱くないのだ。高熱だが熱くないと思えばメラメラと明るく燃え盛っているのに、全然熱くなかった。
次はウィンドボールだ。魔力を球状にして、風にする、が魔力感知でしかウィンドボールがわからない。視覚的には何の変化もないのだ。いや、よく聞くとヒューヒュー音がきこえる。あ、これ白い渦が回っているのをイメージしたら可視化できないか?お、やっぱりできた。これならわかりやすいし、間違えて当たることもないだろう。
最後はアースボールだ。土、砂、石、金属なんでもできるな。でも砂はサンドボールと名付けた方がいいのだろうか。ていうか、アースボールが1番つくりやすいぞ。まぁ日本で実際に見たことがあるからな。
4属性のボール系ができたら、次は同時発動だ。指1本に1属性(親指を除く)となると一気に難しくなるな。右手と左手に1個ずつならできるが指4本だと3本だけしかつくることができない。これはイメージ云々ではなく、魔力感知と魔力操作のようなタイプで努力が必要なのだろう。
魔法が使えた嬉しさでずっと遊んでいたら、急に頭痛がして目の前が真っ暗になった。魔法をベッドで試していてよかった。ガクッ……
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