第3話

 知らない天井だ。まぁ当たり前だが。

 2日目、なのかはわからないが次に目が覚めたら俺は柵に囲まれていた。ついでにいうと天井どころか壁も床も家具も見たことがないものばかりだ。


 体が思ったよりも動かない。ていうか赤ちゃんは首が座るまで立ったり動いたりしちゃいけないんだっけ。いや、でも寝返りはしていいはず。


 寝返りしても大して得られる情報はなかった。よくこういうのはこの部屋は何畳ぐらいとか、家具や部屋の材質から中世ヨーロッパの文明だとかわかるもんだが、ただの高校生にそんな知識あるはずもなく、わかったのは木材でできていることぐらいだ。


 部屋をみたあとはお楽しみの魔法の時間だ。やっぱり異世界といったら魔法だよね。そして魔法を使うための最初のステップは体内にある魔力を感知するところからだろう。

 じゃあ魔力は体のどこにあるのか。これは簡単でよく丹田にあるといわれている。だが俺は丹田がどこのことを指しているのかわからない。つまり詰んだということだ。


 ゑ、待って、最初の段階で詰んだの?俺。嘘でしょ、いや、待て、まだだ、まだ希望はある。なんてったって魔法はイメージの世界だ。

 つまり、丹田以外の場所に魔力があるというイメージをすればいいんだ。

 そうだなぁ、うん、決めた!!俺の魔力は今日からお腹の内側からでることにする。そうと決まればいよいよ感知に入るぞ。……………………………………………………

 …………………………………………………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………うーん。何秒経っても魔力を感じられない。脱力してもお腹に力を入れても感覚に変化はないな。体内を巡っている感覚も血液のように行き来している感覚もない。んー、魔力のイメージが足りないのか?もっと具体的なイメージじゃなきゃ駄目なのか。

 あー、腹が減った。どうもこの体は我慢が一切できないらしい。俺は泣いて周りに腹が減った知らせる。

「奥様ー、ソウ様が泣いてますよー。」

「はいはーい良い子ですからねー。何をしてほしいんですかー?」

 俺の第2の人生での名前はソウだ。名字はまだ会話にでてこないのでわからないが俺が転生の時に辺境の貴族家に生まれたいと願ったので多分貴族の子だ。

 母乳を飲んだので、仕切りなおしだ。今度はもっと明確に、血液みたいな感じをイメージする。

 でも、もともとは体内にある魔力なんだから呼吸しても不要な物と必要な物はないし交換もしない、いや空気中にも魔力はあるのか?

 あるのだとしたら体内の魔力を使うより圧倒的に効率よく魔法が使えるのではないか?


 まぁいい。今回の目的は魔力を感じ取ることだ。

 体を、お腹からでて全身を巡る魔力をイメージしろ。

 今、魔力はどういう風に巡ってる?スピードは?大きさは?形状は?場所は?どこに何本魔力用の血管が通ってる?全部だ、全部をイメージしろ。他の異世界転生者から反論がこないぐらいに完璧なイメージを。この努力は必ず報われるのだから。天才にも勝てるまさしくチートなのだから。努力しないと損だ。今からやらないと、やらない分だけその時間は無駄になる。だから、今、ここで俺は魔力を感知する。魔法が使えるようになる第一歩を今踏み出す。


 あ。今感じ取った。はは、やったぞ。

 ッシャアアアアァァァァァァアアアア!!!!!!

 めっちゃ嬉しい。普通、こういうのは異世界系だと数日とか半年ぐらいとばされるやつなのに俺はこの世界にきてから2回目(何日目かはわからない)で感知できるとか天才なんじゃない?!とか思ってたら魔力の感覚が消えた。しかも冷静に考えればお腹にポツンとあるだけだった。まだまだということか。でも魔力があることはわかったしこの感覚を次に活かせばいい。よっしゃ、頑張るぞ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る