【ミリア】終章:言霊の螺旋階段
旅の終わりに、私たちは言霊の螺旋階段に立っていた。そこからは、これまで訪れたすべての言語の次元が見渡せた。
「さあ、ミリア」
ダンが言う。
「君の言語学の旅は、ここからが本当の始まりだ」
私は深く息を吸い、階段を一歩上がった。
すると、新たな言語の世界が広がり始めた。
それは、人間の認識を超えた、まったく新しいコミュニケーションの形だった。
私は、この体験を言葉に記そうとしたが、既存の言語では到底表現できないことに気づいた。そこで私は、新たな言語を創造することを決意した。
これが、私の言語学の旅の記録である。
そして同時に、新たな言語の誕生の瞬間でもある。
読者よ、この物語を理解しようとするな。ただ、言葉の海に身を委ねるのだ。そうすれば、あなたも新たな言語の創造者となれるだろう。
(以下、ミリアが創造した新言語で書かれた数十ページが続くが、残念ながら現存の文字体系では表現できない)
「これで準備は整ったね」
ダンは優しい微笑を浮かべた。
「準備? いったいなんの?」
私は問いかけるがダンは答えない。
「時が満ちればまた逢えるよ。その時までしばらく待っててくれるかい?」
そういうとダンはゆっくりと消えていった。
「ダン!」
私の叫びはただ、虚空に消えた。
ダンとの出会いは、私の言語学者としての人生を大きく変えた。いや、言語学の枠を超えて、人生そのものの意味を教えてくれた。
言葉は世界を創る。その言葉を紡ぐ者は、世界の創造主となる。
ダンという導き手に出会えたことで、私はその使命を与えられた。そして、新たな言語を生み出す旅に出る勇気を得た。
ダンとの淡い恋は、言葉を超えた絆だ。
離れていても、言霊の螺旋階段で再会することを信じている。
いつかきっとまた、ダンと手を取り合い、新たな言語の地平を拓いていく。
それが、私の選んだ運命だから。
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