Lay your hands on me.

Bamse_TKE

Lay your hands on me.

我を忘れる 熱狂がある。

それがあるから 男と女 互いに求め 惹かれあう。

あたしにだって それくらい わかっているし 知っている。

その熱狂の 終焉は あたしの叫び はたまた彼の 唸り声。

合図無しでも 終われるの。


ある人は 肌をまさぐり 掻き抱く。

愛おしむ様 撫でさする。

あたしの肌の 感触を その手のひらが 味わい尽くす。

そしてあたしは その手のひらで 彼らを強く 感じるの。

快感よりも 狂おしい 絶頂よりも 愛おしい。

あたしが彼に ねだるもの。

熱く滴る 本能が 肌に置かれた 手のひらを そのぬくもりを 求めるの。

だからあたしは 今宵また その手のひらを 探し彷徨う。



こんな話は 誰にもしない。

出来ないしない。

する筈もない。

イタイ女の 哀れな嘆き そうしか取って もらえない。

その通りかも 知れないけど。

ただあたし 誰かに触れて 欲しいだけ。



女は子宮で ものを感じる。

したり顔で 言う人もいる。

そういう女も いるかもね。

だけどあたしは そうじゃない。

肌で相手の 手のひらを 通じて彼を 味わい尽くす。



「すぐにコーラで 洗ったら?」

あたしの中 そのまま爆ぜた 照れ臭さ 隠せず笑う 今夜の男。

この程度 知ってたけどね そんなこと 百も承知で 肌を重ねた。

こんなやつでも 意外とね 手のひらだけは 優しいの。

あたしはシャワーを 浴びながら 余韻の残る、乳房を撫でる。

どう寝たのかは 忘れたけれど 決して消えない 手のひらの その感触に 耽りこむ。 



「少ないけれど 足しにして。」

私の体 ときどきだけど お金に代る。

余韻に浸る あたしの胸に 小さな針が 突き刺さる。

始めから 決めた約束 なんだけど。

そしてあたしは 受け取る時に 男の両手を 握りこむ。

そしてしばらく 離さない。

手の中にある ものよりも 本当はその 手が欲しい。

もう一度 あたしに触れて そう言う前に 男はシャツに 袖を通した。



私の手 握られるのは どうにも弱い。

私を握る 手の甲に 不意に頬ずり したくなる。

会ったばかりの 知らない男 その愛おしい 手の甲に。

私の行為に 慣れたころ 大抵男は 雰囲気を読む。

跪かせて ベルトをはずす。

勘違いでも それでもいいの。

この唇で あなた愛して あげるから その手のひらで あたしの頭 愛撫して。



両手をぎゅっと 掴まれて 頭の上に 持ち上げられる。

抵抗が 出来なくなった このからだ 男の責めが 弄ぶ。

このやり方は 嫌いじゃないの。

ていうかあたし あなたのね 手を独り占め しているの。

あたしを抑える あなたの手 今はねあたし だけのもの。

そんな思いが あたしの芯に 消えることない 火を付ける。



意外と会話も いやじゃない。

ほんとは触れて 欲しいけど。

話す手振りに 目を奪われて あたしの視線は 宙を舞う。



心地良いのは 淡い温度差。

温かいのも 良いけれど 冷たい手だって 嫌いじゃあない。

あたしの肌と 手のひらの 温度差が あたしの肌の、感度を上げる。

あたしの肌から あなたの手 あなたの手から あたしの肌に 熱が移って 同じ温度に。

そしてひとつに 溶け合うの。

すぐに離れる 相手でも。

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