第4話

(数日が経ち日曜日を迎える。女の子はいつも学校に行っている時間になっても、起きないで寝ていた。そこへヒロが部屋に入ってきて、女の子を起こしに来たようでベッドに飛び乗る)


「うぅ……ヒロ君? おはよう……起こしに来てくれたのは良いけどさ、布団越しとはいえ、上に乗られると重いぃ……」


(女の子がそう言っても、ヒロは起きると聞くまで動かないつもりの様で退こうとしない)


「分かったよぉ……ヒロ君。起きるから、ちょっと退いて貰って良いかな?」


(そこでようやく、ヒロはベッドから下りる。女の子はムクっと上半身を起こし、目を擦った)


「ヒロ君……私、女の子なんだから、もうちょっと優しく起こして欲しいなぁ……優しくってどうやって? そうねぇ……耳元で囁くように起こすとかさ」


(ヒロは実践しようと思ったのか、女の子に近づく。女の子はその動作を見て、慌ててベッドから下りた)


「ストーップ! 興味はあるけど……やっぱり実際にやると、くすぐったそうだから、やらなくても大丈夫だよ、ありがとね」


「それよりヒロ君。ちゃんとデートの約束、覚えていてくれたんだね。準備をしてくるから、待ってて」


(女の子は下の階にいき、朝ごはんを食べたりと準備を済ませると、自分の部屋に戻る。白いワンピースに着替えを済ませると、鏡の前で化粧を始めた。その後ろでヒロは待っている。)


「ヒロ君、ちょっと待ってね。まだ掛かるから──え? 待てない? そんなこと言わないでよ~。どうせ一緒に散歩するなら可愛い方が良いでしょ?」


「ん? 別に素でも構わない? え、それって……素顔な私でも素敵ってこと!? あ~、こら~! 勝手に部屋から出て行くなぁ! ……本当に行っちゃった。仕方ない、区切りの良い所でサッサと下に行くか」


(女の子が玄関に行くと、ヒロはちゃんと待っていた)


「ヒロ君、待っていてくれたんだね。ありがとう。じゃあ行こうか」


(女の子とヒロは玄関を出て、歩き始める)


「天気予報では雨が降るかもって言ってたけど、良い天気で良かったねぇ。この調子だったら、ちょっと遠くに行っても良さそう」


「ヒロ君はどこに行きたい? ──ふんふん、公園かぁ。どこの公園に行きたいの? ──ほうほう、あの広い芝生があるところね。どうしてそこが良いの?」


「……ふんふん、人を気にせずに走れ回れるから? 確かにそうだねあの公園。ほんとヒロ君って体を動かすの好きよね。見習いたいなぁ」


「え、見習って一緒に走れば良いじゃないかって? う~ん…………ちょっとだけだよ? ちょちょっと……そんなにはしゃがないでよ、恥ずかしいなぁ……」


(二人が公園に到着すると、ヒロは行き成り走り出す)


「え、ヒロ君!? いきなり!?」


(ビックリしながらも、女の子はヒロを追いかける──それから数分後、女の子は体力の限界を迎えた様で、芝生の上に倒れこんだ)


「はぁ……はぁ……はぁ……限界ぃぃぃ……」


(倒れこんでいる女の子にヒロは近づき、のぞき込む)


「……何よ、その顔……体力無いなって? ちょっとぉ、ヒロ君と比べないでくれる!?

 私はか弱い女の子なのよ」


「え? なんで不満な顔をしてるかって? だってヒロ君、か弱い女の子って言った瞬間、疑問符つけたような顔をしてたじゃない……バレたかって、ヒロ君の色々な表情をいつも身近でみてるんだから、そりゃバレるよ、まったく……」


(女の子はソッと目を閉じると、自分の腕で日差しを遮る)


「あ~、ポカポカして気持ち良いなぁ……ねぇ、ヒロ君。このまま少し、御昼寝しちゃおうか?」


(ヒロは賛成の様で女の子の隣に寝そべる──そのまま二人は動かずに眠りに入った)


「冷たッ! え? なに!?」


(女の子がビックリした様子で飛び起きると、同時にヒロも飛び起きる)


「あ~、雨が降って来てる! ヒロ君、酷くなる前に急いで帰ろう!」


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