第2話
「ただいま~。ふふ、今日も出迎えてくれて、ありがとう。ヒロ君!」
(女の子はご機嫌な表情で靴を脱ぎ捨て、家に入る)
「今日の体育の時、ヒロ君、大活躍だったね。カッコいい姿を見れたのは良いけど……何人か女の子を引き連れていたから、ヤキモチ焼いちゃった」
「私も混ざれば良かったのにって? 私がそういうの嫌いだって知ってるでしょ? 意地悪だなぁ」
「さぁて……今日は何をしようかな? 早く帰って来たから流石にお腹は空いてないよね? ──うん、だよね。じゃあ、漫画でも読もうか? 洗面所に行ってから私の部屋に行くから待ってて」
(ヒロは言われた通り、女の子の部屋へと向かい、女の子は洗面所で用事を済ませると階段を登り、部屋に移動する。そして本棚の前に立つと本を選び始めた)
「ん~……どれが良いかな? これも良いけど、あれも捨てがたい……ねぇ、ヒロ君。ベッドに座ってないで一緒に選ぼうよ」
(女の子はそう言ったが、ヒロは微動だにせずに女の子を見つめている)
「──ヒロ君は恋愛ものに興味ある? その表情からして無さそうだね……残念。じゃあ……スポーツ漫画にしておくか」
(女の子は一冊の本を手に取ると、ベッドに寝ころび、ヒロと一緒に漫画本を読み始める)
「──ちょっと、ヒロ君。近いからって鼻息荒くない? え? 気のせい? ん~……気のせいねぇ……なら良いけど」
「ねぇヒロ君。さっきヒロ君は恋愛ものに興味ないって顔してたけど、女の子には興味あるの?」
「え!? あるの!? なに驚いた顔してるんだって? そりゃ驚くよ。だってヒロ君。さっき恋愛ものには興味ないって顔するからさ……」
「それとこれとは別? ん~……確かに言われてみれば……じゃあさ! ヒロ君からみて私はその……ありの方?」
(下の階でドアが開く音がする。ヒロはそれを察したようで、ベッドから下りて、部屋から出て行った)
「あ~! ヒロ君、逃げないでよ。卑怯者~。……まったく、都合が悪くなると直ぐあぁやって逃げるんだから」
※※※
(その日の夜。女の子は頭を抱えながら、学習机で勉強をしていた。そこへヒロがやってくる)
「あらヒロ君、来たの。何をしてるかって? 宿題だよぉ……ヒロ君と同じ学校に通って、ヒロ君と同じクラスになれて……そこまでは良かったんだけど、私にとっては苦労して入ったから、勉強についていくのがやっとな感じでさ」
(ヒロは部屋の入り口からベッドに移動し、黙って座る。そして女の子の方を見つめた)
「……俺はもう寝るぞって言いたいの? 良いよね、ヒロ君は余裕たっぷりでさ。 ふんだ! ご勝手にどうぞ」
(しばらく無言のまま、時間が過ぎる。ヒロはヤレヤレと言いたい様子でベッドから下り、女の子の隣へと移動した)
「あれヒロ君。もう寝るんじゃなかったの? ……そんな事を言うなって、側で見ていてあげるからって? ありがとう! 流石、ヒロ君! やっさしいぃ~」
「調子が良いんだからって? ふふ、ごめんなさい」
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