第5話 クロネコひみつきち

語り手のそこの君、こんにちは。先にこの世界の仕組みを言っておこう。この世界では。故にこの世界では、願いを叶えてはいけない。さて、ここまでの真実を知ってなお、君は少年少女の、行く末を見届けたいと言うのなら、わたくしはその応えに応じよう———


「おにぃちゃん、雨降ってきたよ」

「ほんとだな。凄い雨だし、何処かで休まないと」

俺が都子くんと話していると、にゃぁ〜、という鳴き声がして振り向くと、黒猫が捨てられていた。

「ねぇ、この猫も連れてっちゃダメ?」

俺は、少し迷ったが、キラキラした少年の目は俺には眩しすぎて「いいよ」と言ってしまった。はしゃぐ都子くん。……可愛いな。じゃなくて

「他に欲しいものあるか?」

「首輪ついてないから、首輪欲しいな」

「……しょうがないな、特別だぞ」

そういえば、妹のみらいにも同じように欲しいもの買ってあげたっけ。

「いらっしゃいませ〜」とペットショップによる。

「わぁ〜、犬や猫がいっぱいいる!」

「流石に高いし、見るだけだからな」

うん!、と純粋無垢な笑顔が輝いている。


そうして首輪を買ったあと、黒猫に首輪をつけようとしたら首輪と黒猫がひかり、次の瞬間

「おにぃちゃん!」

猫が人間になった。そして人間はイケメン男だった。

「心配かけて、ごめんな。もう都子一人にはしないから。お家へ帰ろう」

「ボク、寂しくなかった。一人でも頑張った」

男は、都子くんの頭を優しく撫でて、俺の方に近づき、

「君が都子を助けてくれたのか。ありがとう、感謝する」


最後に肩に手が触れた感触がしたがあれは誰だったのだろう。

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