写真

 バカ姉貴くるみのせいでオレはもう…沸騰寸前でした。

 

 

 そこに兄貴が、

「勉強始めよー。僚の部屋でいいよね?入るよー」

 と、まだいいとも言っていないのに勝手に入ってきやがった。

 

 

 …

 

 

「で?なんの教科から始める?」

 なんて親切にしてくれる兄貴…

 

 …

 

「あのさ、にーちゃんって…」

 

「ん?なに?」

 

「あの…肌きれい…だね。」

 と、思わず見た目の感想を述べてしまった。

 

 ほんとは、くるみのことどう思ってる?って聞きたかったけど…まさかの好きだよ。なんて言われたら…そんなの聞いてしまったら、オレは立ち直れないから聞くのをやめた。

 

 

 そして、わかる数学の問題を一応わからないフリして教わった。

 

 

 だって…

 

 なんだ、できるんじゃんってなったら…兄貴がくるみの勉強教えかねないからな。

 

 こんなイケメンで勉強もできるんだから、密室で兄貴が勉強教えたら、変態くるみが黙っているわけないからな。

 

 それだけは、阻止しなきゃだ。

 

 

「あ、にーちゃんって夢の国で写真撮った?てか、撮るに決まってるよね?見せて」

 と、オレは密かにくるみが映っているんじゃないかって思ってワクワクしながら画面を覗き込んだ。

 

 

 そしたら…

 

 え⁇

 

 

 これは…

 

 …

 

「なんで、くるみだらけなんだよ⁉︎」

 

 思わずびっくりして聞いちゃったよね。

 

 くるみ単品ばっかりですけど⁇

 

 これはもう…盗撮なんじゃね⁉︎ってくらい、くるみだらけだった。

 

 てか、くるみしかいない…よ⁉︎

 

 

「あー、これはオレがくるみ担当でくるみもオレ担当だったから」

 と、意味のわからない話を始める兄貴…

 

 

 担当⁇

 

 夢の国なのに役割分担制なの⁇

 

 

「…担当とは⁇」

 

「担当っていうのは、グループでジャンケンして二人組になるんだよ。で、その日一日お互いを撮りあってその人に写真を送ってあげるってやつ。効率いいだろ?」

 なんて得意げな顔をする兄貴…。

 

 

 へー…

 

 

「じゃあ、くるみの携帯はにーちゃんだらけってこと?」

「うん、まぁそうなるかな」

 

 

 …

 

 

 クッソ‼︎

 

 今すぐにでも、くるみの携帯水没させてやりてー…‼︎

 

 

 ぜってー次くるみが夢の国行く時は、オレが彼氏になってて、そんでもってめっちゃかわいいくるみの写真撮りまくってやる‼︎

 

 

 ならばとにかく夢の国を全て把握して超絶楽しい思い出にしてやらねーとな。

 

 

「にーちゃん、夢の国のパンフレットってある?」

 

「あー、ないかも…。でもくるみが確か持ってると思うな。班の女子全員持ってたし」

 

 

 オレはすかさず、くるみの部屋へと向かいドアをノックした。

 

 

「くるみー、入るよー。」

 

「どうぞ〜ん」

 

 

 …

 

 

 くるみは、何やら携帯をみてニヤニヤとしていた。

 

 

 …

 

 もしかして、兄貴の写真みてにやけてたんじゃ…。

 

 

「くるみの…ど変態‼︎」

 

「はぁ?なんでよ⁇」

 

「だって携帯みてエロい顔でニヤケやがってさ」

 とオレがむくれるとくるみが

「これ、かわいい〜の〜」

 と、ネコの面白い画像を見せてくれた。

 

 

 …

 

 なんだ、兄貴じゃなかったのか。

 

 よかった。

 

 

 かわいい兄貴の写真なんか見せられたら、マジで携帯水没させるところだったぜ。

 

 

「くるみ夢の国の写真見せてよ」

 

「えー、ヤダ」

 

 

 …

 

 あっさりお断りされた。

 

 

「なんでだよ」

 

「だって僚、絶対バカにするじゃん」

 

 …

 

「しないから見せてよ」

 

「もー、仕方ないな。」

 

 と見せられたのは…兄貴だらけだった。

 

 

 あー…、そうだ。

 兄貴ととりあいっこしてたんだよな…。

 

 

「兄貴だらけじゃん。盗撮魔」

 

「あ、違うよ。これは…」

 

「変態〜」

 

 

 オレはわざと変態扱いして部屋を出た。

 

 

 知ってたけど、やっぱりちょっとムカついたし…。

 

 そしてパンフレットのことなんかすっかり忘れていた。

 

 プンスカしながらオレは、兄貴の部屋に戻った。

 

 

「兄貴、くるみに写真送った?」

「あー、まだだった。」

 

 

 …

 

 そうやってオレの知らないところで二人で仲良くやってんだろーなー。

 

 あーあー。

 

 いーなー。

 

 にーちゃんはさー…。

 

 

 オレはにーちゃんを超えられる日がくるんかな?

 

 いや、超えてやる‼︎

 

「にーちゃん、オレ高校の数学やりたい」

 

 兄貴はびっくりしてたけど、オレがにーちゃんを超えられるのって…勉強とかしかない気がするんだよね。

 

 ほんとは、にーちゃんみたいにくるみに優しくできたらいいけど…そんなのできないし…。

 

 なんなら少しにーちゃんより身長高いかもだけど…そんなんじゃ全然負けてる気がする。

 

 

 なのでオレはにーちゃんを超えてみせることにした‼︎

 

 

 続く。

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