おそろい

 くるみとにーちゃんは、仲良く同じ時間に家を出た。

 

 

 …

 

 一緒に行かなくてもよくね?

 

「オレもお見送りするー」

 

 慌てて靴を履いた。

 

 

「やっぱりかわいいやつ」

 とくるみが笑った。

 

 

 …

 

 くるみのやつめ‼︎おまえの笑った顔の方が抜群にかわいいわ‼︎

 

 

 ま、本人には絶対言わないけどね。

 

 

 そんな二人を見送った後、オレは学校へと一人で行くのでありました。

 

 

 

「おはよう♡僚くんっ♡」

「おー、おはよう。」

「あー、僚く〜ん♡おはよ〜♡」

「おはよう。」

 

 …

 

 ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 

 

 実はオレ…モテます。

 

 

 だーけーどー‼︎

 

 肝心なくるみからは、モテませんっ‼︎ 

 

 

 まったく…くるみにもオレのモテっぷりを見せつけてやりたいくらいだぜ‼︎

 

 

 あーあー…

 

 今頃兄貴たちは、夢の国なんだよなー。

 

 いーなー。

 

 

 一日中兄貴とくるみのことばっかり考えていた。

 

 

 そしてやっとこ夕方。

 

 

 

 兄貴とくるみが帰ってきた。

 

 

 

 てか、なんで一緒に帰ってくるんだよ…。

 

 仲良しかよ‼︎

 

 

 すでに怒りマックスなオレにさらに怒り倍増なことが起こった。

 

「「はい、お土産ー」」

 と、同時に差し出されたお土産がまさかの丸かぶりだったからだ。

 

 

 …

 

 

 なんだよ…

 

 

「そんじゃオレ、にーちゃんからの方もらうわ。くるみのやつは、自分のバッグにでもつけろー」

 とオレは言った。

 

 

 するとくるみは、

「かわいくないやつー」

 と言いながらもぬいぐるみのキーフォルダーを自分のバッグにぶら下げた。

 

 

 かわいくなくて結構。

 

 だって、これでオレたちは同じキーフォルダーを持ってるってことになったからさ。

 

 へへ。

 おそろい!

 

 そんなことくるみには、絶対に言わないけどね。

 

 

 お土産を受け取ってもらえなくてちょっとムクれるアネとノー天気な兄貴、そしておそろのキーフォルダーをゲットしてルンルなオレと、父さん母さんとの夕食時間。

 

 

 

 アネがお箸を落とした。

 

 まったくもってマヌケだ。

 

「んもー、わざと落としたんだろ?しゃーねーなー。」

 とオレはアネの箸を拾って洗ってきてやった。

 

 

「プッ、僚はなんだかんだでくるみに優しいな」

 と兄貴が笑った。

 

 すると母さんも、

「そうねぇ。優しいわねぇ」

 と微笑んだ。

 

 

 父さんまでも微笑んでいる。

 

 

 そして…

 

 さっきまでムクれていたくるみも、

「ありがとう。」

 とニッコリしやがった。

 

 …

 

 なんなん?

 

 みんなニコニコして…キモっ。

 

 

 …まぁ、これが普通の家族ってやつなんっすかね?

 

 

 …

 

 家族…

 

 

 でも、オレはくるみを家族としてみていない。

 

 

「みんなニコニコしてキモいよ。ごちそーさん。」

 とオレは席をたった。

 

「照れ屋さんなんだから」

 と、またしても母が言った。

 

 

 …

 

 照れ屋さんってなんだよ。

 

 オレはお店をひらいた覚えは、ない‼︎

 

 八百屋さんでもなければ果物屋さんでも照れ屋さんでもない‼︎

 

 

 

 オレは、こんなの家族ってまだ受け入れてないから!そもそもきょうだいじゃない出会いかたしてたら、姉貴だってもっとオレを違う目でみてくれたかもしれない。

 

 とくにくるみは、家族として完全にみていない‼︎

 

 そうみんなに断言してやりたかった。

 

 …

 

 でも、わざわざ家庭崩壊させるつもりも勇気もオレには…ない。

 

 

 だから、そのまま黙って席をたつのが一番なのだった。

 

 

「あ、僚待って!オレももう飯終わるから勉強しようぜ」

 と兄貴がオレの後に急いで茶碗を下げた。

 

 そしたらその様子を見たくるみが

「いーなー」

 と羨ましそうにオレを見た。

 

 なので口パクで

「バーカ」

 と言ってやった。

 

 するとくるみは、ガバッと立ち上がり

「僚‼︎アゴはずれたの⁈」

 とオレの顔をガッツリホールドしてきやがった。

 

 

 いや…顔…ちかっ

 

 バーカって言ったつもりが…アホくるみは、なにやら勘違いしたようだ。

 

「離れろよ…アゴはずれてねーし」

 

「え、待って…顔赤くない?熱⁇」

 

 

 

 今度は、オデコピタんって…

 

 

 ありえねー…

 

 

「熱もないっ‼︎さわんなっ!変態姉貴‼︎」

 

 オレが慌ててくるみから離れるとくるみのやつは、

「変態って…バレた?」

 と言いました。

 

 

「は?」

 

 …

 

「そりゃ…年頃だし?そういうの…興味あるって聞かれたら…そりゃさ…」

 と意味不明発言しだしました。

 

 

「…あー、じゃ変態おやすみー」

 と、オレは勉強するため部屋に戻るのでありました。

 

 

 ったく…

 

 家族の前で、いきなりキスされるかと思ったわ。

 

 

「バカ姉貴ーー‼︎くるみのバーカ‼︎」

 思いっきり叫んでやった。

 

 

 ほんとは大好きだーって叫びてーーーー‼︎‼︎

 

 

 続く。

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る