第10話
「楽しみだね」
今日は4回目のデート。
「別に...?」
どこにいるのかと言うと、みんな大好きあの場所。
そう、遊園地!
今回は社長に何も聞かれなかったから、社長のチョイスなんだと思う。
「楽しみだって顔に書いてるけど?」
「っ、」
それはそれは、もう楽しみで、昨日の夜なかなか寝つけませんでしたよ。
「あ、図星なんだ。かわいいね」
なんか、最近社長が甘々なんですけど…
「遊園地なんて初めてだから。べ、別にあなたと来れるから、楽しみだったわけじゃないんだから。勘違いしないでね」
残念ながらこの前キスをしたからと言って、この性格を直せそうにはありません。
「俺も遊園地は初めてなんだよね。親は共働きで来たくても来たいなんて言えなかったし、大人になったら忙しくて。それに一緒に行きたい人なんて居なかったしね」
そんなこと言われたら、私がいるからここに来たんだって錯覚したくなる。
「…あっそ、」
「けど今は璦がいるから。璦と楽しめたらいいなって思ったんだ」
私も、社長と来られて嬉しい。なんて言えるはずもなく
「…私と来れて良かったわね、」
可愛くないことばっかり言っちゃう。
「どこ行こっか。乗りたい乗り物ある?」
「別に…」
初めてだからどんなものがあるのかよく分からない。
みんなポップコーンとかチュロスとか歩きながら食べてる...
昔からそういうのしてみたかったんだよね。
彼氏と手を繋いだりお揃いのカチューシャつけたり、お揃いのキーホルダー買ったり。
なんて、正直に伝えられない私じゃ無理なんだろうけ...あ、あのキーホルダー可愛い...
「璦?」
「何」
「いや、ぼーっとしてたからどうしたのかと思って、何かあった?」
今だ。今が素直に言うチャンスだ。
一緒にあのキーホルダーお揃いで持ちませんかって言え!
「…なんでもない」
あーもう!素の私もだんだんこじらせてきてる!?
「そっか。璦はジェットコースターとか乗れる?」
ジェットコースター…
「乗ったことないから分からない」
「それじゃあ…あれとかどう?」
そう言って指さしたのは、
「きゃぁぁぁ」
人が逆さまになってる…
「あ、あれ…?」
初めて乗るには難易度高そうなんだけど、
「うん!あれ!」
社長のこんなキラキラした目見たことない。
「乗ってみる...」
ここで乗りたくないなんて言ったら、きっとがっかりしちゃうから。
「ほんとに?」
「うん、」
「やった!行こ!」
はしゃいじゃって、かわいい。
というか、私、生きて帰れるかな、
「こ、これ、どこまで上がるのっ、」
「もうちょっと!」
高い、高すぎる。下は見ちゃ駄目…下は見ちゃ駄目…
「もうちょっとってどのぐら、きゃぁぁぁぁ」
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