第3話


私の朝は早い。


「由莉おはよう」

「あ、蓮おはよう」


「由莉はいつも早いね」

「まぁね」


ただ、なるべく家にいたくない。だから、いつも出勤時間の30分前には家にいる。まぁ、単純に、今の仕事が好きっていうのもある。


「…え、あれって、」


昨日お会いした方とシルエットが似てるんですけど…幻覚か?それとも視力落ちたか…?


「あ、社長だ」


やっぱり、私の見間違えじゃなかった。


「どうして、」


私が働き始めてから一度だってここに社長が来たことはなかった。考えられることはただ一つ…


「社員の働きぶりでも見に来たんじゃない?いつもより早めに来といてラッキー。俺の働きぶり見て給料上がったりしないかなー」


何て呑気なことを言ってるけど、私はそれどころじゃない。


「そうだといいね、」

「由莉大丈夫?顔色悪いけど」


璦のふりしてお見合いして、それがバレそうで怯えてます。なんて言えるわけない

「いやー、私は、クビになるかもなぁ…なんて、ハハ、」


うん。あながち間違ってはない。この事がバレたりしたら…私も私の家族もタダでは済まされない。家のことはどうでもいい。ただ…


「え?由莉に限ってそれはないよ。優秀なんだし」

「そんなことないよ、」


「いやいや、由莉がクビなら俺なんてとっくの昔にクビになってるって!もう、心配性なんだから」


そんな堂々と言う事でもないと思うけど、まぁ蓮なりの励まし方なんだと思う。


「そうかな、、」

「そうだよ。…ん?なんか探してる人がいるみたいだね」


探してる人…私の事がバレた?まさか、違うよね?どうか気の所為でありますように。


「…」

「由莉?どうしたの?」

私の考えすぎかな、


「近づいてきてない…?」


「確かに。誰かに用があるんじゃない?」


その誰かが私じゃありませんように。わぁお、バッチリ目が合った。うん。終わったな。


「ちょっといいか」

「…っ、」

やっぱり私か。変なところで勘はいいからなぁ。薄々そんな気はしてたけど、、


「え、俺ですか?」

そうだよ。まだ蓮っていう可能性も…

「違う、お前だ」


ないですよねー、はい。

「私…ですか、」


「あぁ、話がある」

恐ろしい…騙した罰だ。

「はい…」


甘んじて受けいれ…


「お前もしかして…」

られるわけが無い!私今日で人生終了しちゃう!?こんな短すぎる人生嫌すぎるんですけど!?


「璦の姉か?」

「…え?」

「さっき出勤時に見かけて顔が似てたから。違ったか?」


「あ、いえ、合ってます。よく似てると言われるんです」

うん。全く似ていないがそういう事にしておこう。


「そうか」

「えっと…それでご要件というのは…」

「ちょっと聞きたいことがあってな」


「聞きたいこと…ですか?」


「あぁ、実は…」

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