第46話

土曜日がやってきた。


私は遥希くんと咲月と一緒に、楽しみにしていたスイーツのお店に向かった。


私たちはカフェに入ると、店員が笑顔で迎えてくれた。


店内は明るく、甘い香りが漂っていた。


「何名様ですか?」


「三名です」

と遥希くんが答える。


「ではこちらの席へどうぞ」

店員はメニューを手に取り、私たちを案内してくれた。


私たちは店員の後について、窓際の席に向かった。


窓からは柔らかな日差しが差し込み、外の景色が一望できる。


咲月は奥の席に向かい、静かに腰を下ろした。

私は咲月の正面に座り、その隣には遥希くんが座った


席に着くと、ふかふかのクッションが心地よく、テーブルには可愛らしい花が飾られていた。


「ここ、すごくいい雰囲気だね!」

咲月が嬉しそうに言った。


「うん、メニューも美味しそうだし、どれにしようか迷っちゃうね」

私はメニューを見ながら答えた。


「そうなんだよねぇ」


咲月はメニューを手に取り、どれにしようかと真剣に選び始めた。


「俺はこのチーズケーキにするよ」

遥希くんが微笑んだ。


遥希くんって、チーズ大好きなんだなぁ。


「遥希くんってチーズ好きなんだね」

「うん。そうなんだよ」


「じゃあ、私はチョコレートパフェにする!」


「私は…フルーツタルトにしようかな」


注文を終え、しばらくしてスイーツが運ばれてきた。


みんなで美味しいスイーツを楽しみながら、楽しい時間を過ごしていた。


その時、隣のテーブルに座っていた男性が突然立ち上がり、私たちのテーブルに近づいてきた。


「おい、お前ら、うるさいんだよ!」

男性は怒鳴り声を上げた。


「えっ?」

私は驚いてその男性を見上げた。


別に、そこまでうるさくないと思うんだけど…。


これでも周りに気を使って話していたつもりだった。


「貴方の方がうるさいかと」


咲月…。


こんな時でも自分の意見をはっきりと言える咲月は凄い。


でも、今は相手を怒らせないようにすることが最優先な気が…。


「なんだって!?」


案の定、顔を真っ赤にして怒鳴った。


こんな人を怒らせてしまったら、後々面倒なことになる。


「落ち着いてください。俺たちはあなたが怒るほど騒いではいなかったはずです」


遥希くんは冷静に男性を促す。


「お前らがうるさくて、こっちは落ち着いて食事ができないんだ!」

男性はさらに声を荒げた。


「すみません、そんなつもりはなかったんですけど…」


私は謝ろうとしたけど、男性は私に向かって指を突きつけた。


「特にお前だ!さっきからずっと騒いでるのはお前だろ!」


男性の言葉に、私はショックを受けた。


私…?


そんな、私は騒いだりなんかしてないのに。


そんなの言いがかりだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る