第40話・大賢者の前世
「え!?芽衣子ちゃん、異世界に行ったの!?」
「うん、すごいでしょ?」
今は転移魔法を使って別荘にいる理沙ちゃんと話をしている。転移魔法を使うと気軽にここに来れるので、かなりの頻度で芽衣子ちゃんと理沙ちゃんと私でお茶会を開いている。
「目的を果たしたから戻ってきたわ。」
「目的?」
「美玲と決別すること。まったく、あの現象を起こすとか、あの女どうかしてるわね。」
「あの現象って?」
「同じ属性の生物が交わると子供の属性が1強くなるっていう例の現象だよ。」
「え・・・・?ねえ、玲香ちゃんの旧姓って、家永、だったりする?」
「そうだけど、それがどうしたの?」
理沙ちゃんどうしたのかな?
「私、玲香ちゃんの前世、知ってる!」
「え!?」
私の前世と言えば、1500年生きたと出てきたので、私が生きていたのは少なくとも奈良時代とか平安時代のあたりになる。知ってるとは考えづらいけど・・・・。
「玲香ちゃんの前世って、偵察天使との間にできたハーフの女の子のはず。」
「え!?」
確かに天使とのハーフなら1500年以上生きることも可能かもしれない。寿命ある生物の人間と、寿命がない天使との間なら、ありえる・・・・かもしれない。でも、家永家は天使の子孫だから、そう考えるとハーフはいたのか。
その話を聞いて言語精霊が騒ぎ出す。
(ほら、10年ぐらい前に話した神話ですよ!)
10年ぐらい前・・・・あああああ!?あの話!?(25話参照)
「なるほどね・・・・なんで理沙ちゃんはそのことを知ってるの?」
「それはね、私が偵察天使だからよ。数年間毎日叩き込まれるの。4000年間天使業をやっててあんなにきついことはなかったわ。」
なるほど。確かに数年間毎日叩き込まれてたら暗記するか。
「4000年も天使やってるの?」
「うん、有能な天使はずっと勤めてるわよ。10000年以上は働かせてはいけないっていう制約はあるけど、私はもうちょっと頑張ろうかなって思ってるわ。」
「へぇ・・・・」
知らなかった。理沙ちゃんが偵察天使だってこと、天使は10000年以上は働かせてはいけないこと。
天使自体は、”もともと自我のある生物が輪廻するとき”に任命されることがある。だから、もともと理沙ちゃんは人間だったのだろう。
芽衣子ちゃんの方を見たら、ポカーンとしていた。そりゃあそうだよな、突然始まった非現実的な話だもんね。現代日本でこんな話があるとは思わないよね。ちょっと芽衣子ちゃんに同情する。
「そういえば、玲香ちゃんは会社に遊びに行ってるんだって?」
「うん、そうだね。」
私はときどき久保山財閥に遊びに行っている。理由は面白いからだ。それ以上でもそれ以下でもない。
「私も連れてってよ。」
「それいいね!玲香ちゃん、私も連れてって?」
名案と言わんばかりに提案した理沙ちゃんと、それに便乗する芽衣子ちゃん。それに対する私の答えは一つだ。
「もちろんいいよ!職場体験先行ね!」
そのあとは打ち合わせをして体験に行くことがきまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます