第33話・大賢者の友達の修行

「格闘家?」

「うん、そうね。」

「格闘家って武器を持たずに攻撃するアレだよね?」

「そうね。でも適性が強ければ力が著しく伸びるし、かなり強くなるわよ。」

 ちなみに今は適性検査を受けた芽衣子ちゃんに結果を伝えたところだ。適性検査を受けた結果が格闘家の強い適性だったのだ。

「玲香みたいな人が格闘家を目指すと大変だけどね~。」

「・・・・やめて、あの頃は調子に乗ってたのよ。ちなみに、玲仁君が騎士でお姉ちゃんが魔法騎士、私が賢者よ。」

 ちなみにこの世界では魔法使い=攻撃魔法を使う人、聖人とか聖女って呼ばれる人が回復魔法や補助魔法を使う人で、賢者は攻撃魔法、回復魔法、補助魔法が全部使える人、私が今持っている称号の大賢者が攻撃魔法、回復魔法、補助魔法以外に一個以上使える人っていうのが一般認識だ。実際は賢者の定義は”3種類以上の魔法を使えること”であって、大賢者も同文だ(第1話参照)。

「え、玲仁君って騎士だったの!?」

「まあ、玲仁君の前世では騎士の最強称号をもらってたからね。」

「えええええ!?」

 芽衣子ちゃんは今日一番の絶叫をしていた。

「私だって現役で魔法系最強称号を持ってるわよ。」

「えええええええ!!!!!!?」

 芽衣子ちゃんの今日一番の絶叫が更新された。さすがに手が耳に近づいたが。

「まあ、その話はいいとして。訓練は格闘室でいいはずよ。」

「OK!」

「あ、この腕輪を渡すわね。」

 渡したのは私が持っている腕輪とおそろいのもので、(言語精霊より優秀な)言語翻訳もしてくれる代物だ。ただし、この世界の言葉にしか対応してないけど。この世界で作ったからね。で、さっき対応言語に日本語だけ追加しておいたから、芽衣子ちゃんでも役に立つってことだ。

「え、いいの!?」

「うんまあ私にはいらないから。」

「OK、ありがたく使わせてもらうね!」

「じゃあ、格闘室にちゃんと行くのよ?」

「わかったわ!」


 @***@


 今、私は修行をする場所にいる師匠みたいな男性と話している。

「モニカちゃん、だったね?」

「はい。」

「適性検査の結果を受け取ったんだけど・・・・とても前衛で戦えるようには見えないよ?」

 私の心が音を立てて刺された気がした。だって私はお転婆とか気の強いキャラに多い格闘家という職業がRPGでもラノベでも大好きだったから。騎士?魔法使い?興味ないね、という感じだったし。

 ちなみに私の服はシンプルな白いTシャツに、黒いジャージみたいな動きやすいズボンなんだけど、悪かっただろうか?

「な、なぜですか?」

「だって着ている服が明らかにいいものばっかりそろえていて貴族令嬢にしか見えないよ。どこの家の出身なの?って聞きたくなるぐらいだよ。」

「は?平民、ですけど・・・・」

 まあ一応久保山財閥の子会社の社長だけどさ、その理論なら玲香ちゃんの方がよっぽど貴族令嬢なんだし。

「え、平民なの?あなたの家って大丈夫なの?」

「これ、ウニクロで上下合わせて2000円ぐらいで買ったやつなんですけど・・・・」

 言ってから気づいたけど、日本円で伝えて感覚が伝わるはずが・・・・

「えええええ!?それが2000円!?嘘でしょ!?やっぱりあの人の出身地ってどっかおかしいんじゃないかな?ねえ?」

 なんで伝わったの?この腕輪ってどんなプログラムになってるの?私が日本語で話しても普通に伝わってるし、こういう文化の差も計算されてるように見える。

 本題の方は長年住んでたからおかしさが何もわからないけど・・・・どこかおかしいのだろうか?

「ええと、早く訓練させてください。」

「そうだね、早く訓練しようか。」

 とりあえず今は訓練に集中することにした。


「やっぱりすごい適性だね!」

「ありがとうございます!」

 褒められて素直に嬉しいけど、手のひらを返した感が否めない。

「俺の弟子になってくれないか?」

「はい!」

 よっしゃ、これからどんどん修行して私TUEEEやるぞ!適性強いらしいしね!

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