第29話・大賢者のレベル上げpart3
毎日修行していて気づいたら一ヵ月が過ぎていました。
「ヤバい、行方不明になってないかな・・・・」
「数秒後の時間に帰るからそれはないと思うけど、そろそろ成長がずれ始めるころね。」
「・・・・これを繰り返すことであのままあの賢者になったの?」
「まあ、それプラスいろんな世界を周って文献の知識を吸収した結果だと思うよ。あ、今Lvいくつ?」
「Lv29だよ。」
「あと1か・・・・」
「今度の討伐依頼を受ければ多分達成すると思うよ?」
「そうだよね、今から討伐に行くモンスターはボス級だからね。」
玲仁君は回帰術も練習して、今では軽く意識するだけで姿を変えられるようになった。使えるかはわからないけど、まあいいと思う。
「そろそろ討伐依頼に行きましょう?」
「うん!」
次こそ玲仁君のレベルが上がるといいな。そう思って討伐に挑むことにした。
「どりゃあ!」
「ファルナ!」
いろいろやってたら玲仁君がとどめを刺した。経験値を独り占めさせるために、私は回復補助に回ったけど、心配はなかったみたいだ。
あ、ちなみにファルナは中級回復魔法のこと。HPもだいぶ増えてきたから、初級回復魔法じゃ足りなくなってきたころだったんだよね。
「どう?レベル、上がった?」
「Lv30になったみたいだよ!」
「よし、帰りましょう!」
「うん!」
「目標のレベルに達したみたいなので帰りますね。」
「・・・・そうか。寂しいな。また来てくれよ。」
「「今までありがとうございました。」」
それにしてもLv30か。これでもかなり高レベルだけど、目指してるのがLv133だからね・・・・。
ケンドリック家当主様、ありがとうございました!
そう思って帰ろうとしたんですが、どうして帰れなさそうなのでしょうか?
「・・・・玲香?」
そう名前を呼ぶ女性は、8歳ぐらいで濡れ羽色の髪に濡れ羽色の瞳をした・・・・
「ねえ、お姉ちゃんなの?」
「玲香なのね?」
「はい、家永玲香です。」
そりゃあ再会したときにかける言葉を考えてたけどさ、明らかにお姉ちゃんは不時着していたわけだし、再会するのは現代日本だとばっかり思ってたからかける言葉が見つからないよ。
「ええと、どうやってここに戻ったの?」
「あの女が持ってたミスリルの宝石に触れたら移動できるようになったよ?」
「・・・・そうですか。」
「ええと、今何が起こってるの?」
うん、ごめん私にもよくわからない。
「今、現代日本ではどこに住んでるの?」
「沖縄だよ。」
「え、沖縄?」
不時着のときに二人が離れた場所に降り立つことはよくある話だけど、距離が微妙すぎない?まあ、離れてるは離れてるけど、国内だし。
「そうなの。帰ってもいい?」
「うん、私も帰ろうとしてたところだから!」
「じゃあ、帰ろう!」
ということで、双方別の場所に帰ることになったのだが・・・・私は完全に別れてから後悔することになる。というのも、この状態ではつながる方法がなかったのだ。
「ふう、帰ってきたね。」
「うん、そうね。」
「・・・・お姉ちゃん今頃どうしてるのかな?」
「いや、さっき会ったよね?あの時にどうして聞かなかったの?」
「・・・・びっくりしすぎて忘れてた。」
「そうですか。」
特に話すことがないので黙っていたら、部屋をノックされた。
「すみません、玲仁さんをちょっと借りてもいいですか?」
「はい、どうぞ。」
こそこそ話していたら、玲仁君が突然目を見開いた。どうしたのかと思っていたら・・・・。
「俺、血のつながってない両親の元に帰ることになった。」
その知らせで今度は私の目が限界まで開くことになった。え、どうしよう、玲仁君がいなくなったら私どうなるの!?
「大丈夫、多分遊びにくることはできるから。」
「・・・・その言葉を信じるよ?」
「うん、信じてて?」
・・・・別になんらおかしいことはない。今まで同居していたのが別居するだけだ。むしろ”友達”としてはそれが自然でさえある。
(きっと仲良くなりすぎたのよ。だから、このお達しはちょっと離れなさいという運命のメッセージなんだわ。そう考えましょう。)
運命というのは、”その世界が迎えるべき現象”のことで、世界ができたときにすでに決まっている現象だ。その範囲は”宇宙ができる”という大きいものから、”○○が△△にひとめぼれする”みたいな小さいものまで様々だけど、”その運命が小さいものであるほど変えやすくなる”という法則は、どんな運命だろうが世界だろうが共通だ。
とはいえ私が最初に転移した世界が、運命教みたいな感じだったからできた考え方なところもあるけど。
でも、私は運命を捻じ曲げようとする。
「玲仁君は、ここに残る気はないの?」
「うーん・・・・ないと言ったら嘘になるけど、やっぱり血がつながってないとはいえ両親ではあるから、思い出があるんだよね。それにここへの滞在は一時的なものだって聞いたし、だったら思い切っちゃおうかなって思って。」
「どこかに行っちゃうの?」
「大丈夫、死なないから。多分。」
・・・・もしかして、これは以外と意思が固いのかもしれない。意思が固いローレンス様もとい玲仁君は、誰にも止められないのでこれはもう仕方ないのかもしれない。
「また、どこかで会いましょう?」
「うん!」
玲仁君の両親の家がどこにあるのかは知らないが、聞いても答えてくれない。二度と会えないかもしれない。でも、止めることはできない。
「じゃあ、俺は出ていく準備をしておくから。」
「・・・・わかった。」
出ていく準備をし始めた玲仁君を私は黙ってみていることしかできなかった。
あとがき
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