第25話・大賢者は異世界転移の結果を最強騎士に話す

「・・・・ていうことがあったんだ。」

「・・・・なるほど、わからないのがわかった。」

 ことの顛末(詳しくは第24話・大賢者の異世界(転移)研究参照)を玲仁君に話した。

 今の玲仁君はLv1とはいえ前世のローレンス様の記憶を受け継いでいるので何かわからないかと思って話したが、この状態だ。

「どういうことかな?」

「状況を整理しようか。まず、その自称母親の自称手下は生きてるって言ってたってことだよね?生きてたことを裏付ける証拠は?」

「ないけど、嘘を言ってるようには見えなかったんだよね。あたかも実際に会ったことがあるように話してたから・・・・。」

「玲香ちゃんがそう感じるならそうなんだろうね。じゃあ、ダメージが甘かったとか?」

「いや、生物のHPの限界以上のダメージを与えた記憶があるよ?」

「うーん・・・・もし、自称母親の手下が生きていたとしたら答えは一つしかないんじゃない?」

「そうだよね、私もそこまではわかったんだよ。が働いたんだよね?」

「そう、必然的にそれしかなくなると思うんだけどね・・・・。そうなるともう一つ疑問があるよね。」

「そう、”どうやってを作ったか”、でしょ?」

「そうなんだよ・・・・。それにその元がわかったとして”どう対処するか”がわかってないからね・・・・。」

「心当たりがあるとすれば、過去に読み漁ってた文献の中に”不死の動力”っていう文献があったよ。」

「内容は?」

「非常に特殊な魔法を非常に強い媒体にかけるんだって。その魔法のやりかたは私にも理解できたから頑張れば解除できると思う。」

「その”非常に強い媒体”って、どこかに置いておかないといけないレベルのやつ?」

「うん、そうだよ。だから、どこかには置いてあると思うよ。でも、そしたら疑問が二つ出てくるんだよね。」

「どこに置いてあるかと・・・・あとは何?」

「自称母親も私と一緒でいろんな世界に行ってるの。でも、どこにいても機能してないとあんなに強い態度をとれるわけないでしょ?不死の魔法の性質上、魔法をかけた媒体がある世界を離れると、不死の能力が途切れるはずなの。」

「・・・・なるほど?要するに”どこにあれば不死の能力が途切れないか”ってこと?」

「うん、そうなるかな。もしわかればすごく強力なヒントになるけど、わからなければこれ以上ない悩みの種になる。多分こっちから考えたほうがいいと思うわ。」

「あとは、生物的な要因は?」

「生物的な要因だったら、やっぱり天使になるわね。」

 ちなみに天使というのは神々の組織の中に入っている一番下っ端にあたる神だ。会社に例えるなら平社員だと思えばだいたい大丈夫だと思う。ただ、分類上天使とか神様は生物ではないんだよね・・・・。偵察天使か?でも、偵察天使でもちゃんと寿命はあるけど・・・・。

 あ、偵察天使っていうのは天使が人間として地上に降り立って、主に生態系を調べる神のことだ。会社に例えるのは・・・・うまく表せないな。お客様の満足度を調べる営業の方みたいなものかな?

 偵察天使に寿命はあるって言ったけど、不死なことには変わりない。ただ、”120歳の誕生日に普通の天使に戻る”のと、”人間の平均年齢に合わせて見た目が変化する”だけだ。

「その自称母親が天使かわかる証拠はあるの?」

「ない・・・・ん?」

 何か声が聞こえた気がした。

(偵察天使に関する神話を知ってるんですけど、聞きますか?)

「それはぜひ玲仁にも聞かせてもらいたいわ。」

「ええと、何の話なの?」

「私の中にいる言語精霊が偵察天使に関する神話を知ってるんだって。」

「ええと、言語精霊っていうのがいるの?」

「いるわよ。つい最近まで言語精霊に翻訳してもらってたし。」

「で、それは聞きたいね。」

(じゃあ、話しますね。)

 今から約3020年前、一人の偵察天使が降り立った。その偵察天使は20年の月日が過ぎ去った後、人間の女性に恋に落ち、女性は一人の子供を産んだ。

 その子供は一人の子供を産んだ後に長年の時を生き、1500年を生きた後に雷に打たれて死亡した。

 そして、天使の子孫の家が家永家になった。2011年3月12日、天使と人間の子供は生まれ変わった。新たな家永家の子供として。

(・・・・私にわかるのはここまでです。なお、この神話は実在すると思われます。あとは真相をご自分で確かめるしかないかと。)

「うーん・・・・今回の話と関係あったか?」

「2011年って私の生まれ年なんだけし、気になるけど今回とはあんまり関係なさそうね。」

「ぐぬぬ・・・・」

「その話を通じて今後の偵察天使に何か影響はあったの?」

(影響、ですか・・・・偵察天使が恋愛禁止になったことぐらいですかね・・・・。)

「恋愛禁止、か・・・・。」

「あ、でも本当にあの女が偵察天使ならのほほんと私と一緒に異世界転移している暇はない気がするわ。」

「うーん、話が平行線だな・・・・。あ、後天性異世界転移が起こると不老不死になるとかは?」

「うーん、それは実体験的があるからないと思うわ。」

「そっか・・・・」

「とりあえず話が平行線ね。実際に行くしかなさそうだから、予定を決めましょう。」

「8月8日じゃだめ、ですかね?」

「別にいいわよ。」

「じゃあ、8月8日にこの部屋に集合ね。」

「うん!」

 とりあえず今日は進展がなかったけど、8月8日は進展を出そうと決めた私だった。


 あとがき

 今回のエピソードはいらない話に聞こえて実は重要な話がまぎれています。その顛末を読むためにもフォローや応援や★、レビューやコメントなどお願いします。

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